97.

やってみろとロックは静かに言った。「清流」の異名を持つロックに、シリウスは雷撃で仕掛ける。

「何?!」

シリウスが放った雷撃はロックを完全に捉えたかに見えた。しかし、まるで雷撃に意思があるように、ギリギリのところでロックを避け、倒れている憂弥の足元を穿った。

「おっといかん。俺がよけると後ろにいる紫堂憂弥が危険だな」

ふざけるなとシリウスは激昂する。

「とぼけたことを!」

シリウスは苛立ちを隠さず、次々と攻撃を繰り返す。ロックは回り込むように移動し、憂弥への危害を回避しつつ、自らものらりくらりと攻撃をよけ続ける。

「当たらないねぇ。そろそろ疲れてきたんじゃないか?」

「くっ・・・なぜだ?なぜ当たらん?!」

なぜだとシリウスは繰り返す。

「見えてるんだよ。お前の攻撃は」

事も無げにロックは答える。

「そんなはずはない!迸る電流は不規則にうねり、鞭のように複雑な動きをする。常人に目で追えるものではない」

「おいおい・・・ヘル・ライナーズは常人では務まらんぜ」

ロックがはじめて剣を抜いた。