86.

「ずいぶんと馴染んでいるじゃないか?このまま平穏に暮らすか?リック・ロシアン・ブルー」

「何ぃ?」

中空に浮いているのは金色のタスクを纏ったビホルダー・シリウスだった。彼は二人を見下ろし、続けた。

「紫堂憂弥よ、おとなしくレヴィ・ストーンを渡せ。お前が持っていたところで何の役にも立たん代物だ」

「どうかな?少なくとも、俺が持っている限りはお前の言う平穏な暮らしが続くと思うが?」

うっすらと笑みを浮かべて憂弥が切り返す。

「口の減らない男だ。俺たちの国にはこういうことわざがある」

「何言ってやがる?」

「『おしゃべりがカラスを殺す』。この世界では『口は禍の元』だ!」

シリウスは急降下し、憂弥に斬りつける。憂弥は寸での所でこれをかわすと、タスクを纏って飛び上がった。

「リック、その買い物よろしくな!」

憂弥は上空から買い物袋を投げ渡し、その場から飛び去った。

「なっ?!おい!憂弥!」

シリウスも憂弥の後を追う。リックは買出しのビニール袋を抱え、とにかく帰路を急いだ。

(何だってこんな役割なんだ?!)

青の疾風が買い物袋を抱えて駆け抜けた。