83.
一人不幸だったのは恐らくカイだった。彼は第一激をかわしたものの左腕を切り落とされていた。自分以外の全員が戦闘不能なのを瞬時に見て取ったカイは、悪魔のような強さのレヴィアを無視し、全力をもって他の二人を倒しにいった。
もともと新人離れした実力と強い信念を持っていたカイは、二人のレヴィアに切りかかり胸を切り裂かれ、残る右腕を失ってもなお立ち続けたという。しかし、後ろからゆっくりと近づいてきた例の男に無残に切り捨てられ、果てた。
結局、エル・フィリオンのレヴィアたちはエルモの町を完全に破壊し、30分後に引き上げていった。
駆けつけた救援隊が瀕死のリックを発見したとき、彼らはカイの亡骸のそばに一通の手紙を見つけた。そこには壮絶に戦い散っていった名も知らぬレヴィアを称える言葉が記されていた。
カイの死に様を克明に綴ったその手紙は、ダンストン・リードルというレヴィアが記したものだった。
病院のベッドで、数日後に意識を取り戻したリックは、己の無力さに吼えた。親友を失ったこと、親友が戦いに果てたとき、自分は意識を失っていたこと、相手のレヴィアが自分と同じ新人だったこと、そして敵を称えるその男の気高い心。
全てにおいて自分の不甲斐なさに吼えた。深夜の慟哭は再びリックが気を失うまで続いた。