82.





「で?どうなったんだ?」


「ああ、その後、本当に一瞬の出来事だった……」


リックは表情も変えず、淡々と続きを語り始めた。



エルモの町で暴れ回る三人にゆっくりと一人のレヴィアが近づいていった。今と名っては名前も忘れてしまったが、レヴィアとして正式なナンバーさえ受けていない男だった。しかし、リックやカイにとってはもちろん先輩で、当時は疑うべくもなく実力は彼の方が上だったろう。ともかく、その男は暴れ回る三人を格下と決め込み、余裕の表情で彼らの前にたった。


「よう、散々暴れまわってくれてるじゃねぇか?ここはライナー・フル様の領地だぜ。あんまり勝手…」


おそらく、その光景の詳細を目で追えた者は一人もいなかったろう。進み出た男は、ゆったりと構えてそこまで話したが、最後まで言い終わらないうちに首をはねられていた。


!?」


その場に居た他の8名は、全く何が起こったかわからなかった。しかし、カイとリックは少し後ろにいたため、一瞬身構えることができた。ただ、体を縮めただけだったが…。


おそらく、エル・フィリオンの手の者のうち二人は、本当にたいした実力のない下っ端だったのだろう。しかし、一人だけ別格がいた。リックも後で知ったことだったが、その男は当時こそレヴィアになりたてで、リック達同様、その日が初陣だったと言う。とにかくこの簡単な作戦に、恐ろしい実力を持った新人が抜擢されていた。


彼はあっという間に一人のレヴィアの首をはねると、目にも止まらぬ速さでリック達に迫った。そして一瞬にして残る全員に致命傷を負わせた。ある者は胸を貫かれ、ある者は腹から横に切り捨てられていた。


唯一、リックだけは咄嗟にかわしていたらしく、肩から襷掛けに切られていたが思いのほか傷が浅かった。但し、出血がひどくそのまま昏倒してしまった。