79.

入営からわずか数日で、営舎のある町がクロスボーン・レヴィアスの奇襲を受けた。ライナー・フルの統治する都市に対しての大規模な攻撃の陽動作戦だった。

もちろん、ヘル・ライナーズは都市の防衛にあたり、営舎のあるエルモという町は予備軍が防衛にあたった。複数のエリアを同時に攻撃してきたクロスボーン・レヴィアスに対し、ヘル・ライナーズは要所を優先的に防御し、リックたちの住む町は予備軍のみで防衛せざるを得なかった。

もちろん、入隊直後の新兵までは借り出されなかったが、唯一カイとリックだけは例外だった。ずば抜けた実力を持つ二人は即戦力とみなされ、早くも実戦に投入されることになった。ただし、後方の援護を任されており、まずは経験することを重視した訓練の一環という位置づけだった。

「心配するな。先輩たちの戦闘を見ているだけでかまわん。この戦いはあくまでも敵の陽動だ。この町を落としてもたいした成果はない。派手に暴れまわって、あわよくば正規のヘル・ライナーズを一人でもひきつけようという目論見だろう。まぁ、実際ヘル・ライナーズのレヴィアが来たら、あっと言う間に撤退する腹積もりだろう。お前たちは見学だ」

普段は鬼のように厳しい教官が笑顔で見送る。カイもリックも納得し、適度の緊張は保ちつつもどこか他人事のような状態で戦地へ赴いた。