78.

予備軍の営舎は二人部屋で、リックと同室の男は非常におとなしい性格だった。

彼の名前はカイ。

カイは普段から物静かで、到底レヴィアを目指す者とは思えなかったが、その実力は小隊の誰もが認めるほどだった。幼い頃からレヴィアを志し、自らを鍛え抜いてきたカイは、おとなしい物腰からは想像できないほどの強者だった。

「君はなぜレヴィアになろうと思ったんだい?」

同じ日に入営し同室となったカイは、初めにリックに尋ねた。

「目の前で苦しんでいる人を、助けられない自分が嫌だったからさ」

少し照れながら、リックは答えた。

「カイ、君はなぜだい?」

リックが聞き返すと、カイは小さな声で「レヴィアになる以外、方法が思いつかなかったからさ」と答えた。

「どういうことだ?」

リックはさらに尋ねたが、カイはそのまま答えずに眠ってしまった。その後は、なぜかその話は禁句のようになり、二人の間で語られることはなかった。おそらく、リックの答えもカイの答えも同じようなものだったのだろう。リックはカイもまた自分と同じ気持ちでレヴィアを志したのだと理解した。それならば、自分と同じように語りたくない過去があるのだろう。ならばお互い、この話はする必要もない。

おそらく、すでにカイとリックは同じものを目指す同士になっていたのだろう。二人はわずかな会話でそれを理解し合った。

数日は、これまでの生活では考えられないほどに人間的な日々だった。もちろん、訓練は辛かったが同じ目標を持つもの達が集まっている。対等に会話のできる仲間がいる。厳しいながらも、自分たちのことを思ってくれる教官たちがいる。リックはそんな生活に少なからず幸せを感じていた。この場を与えられた幸運に、与えてくれたライナー・フルに心から忠誠を誓った。

しかし、そんな日常はあっという間に崩れ去っていく。砂で築いた城のように、当たり前に満ちる潮が流し去る。