68.
「どうやら、おしゃべりが過ぎたようだな……」
自嘲の笑みを漏らし、ユイナルは呟く。
「……」
「覚悟はいいらしいな?」
ユイナルはそう言うと、剣を振りかざし頭上で構えたが、それでも一向に戦意を示さないシャドウに、リック達の焦りも限界まできていた。
「クソッ!!シャドウの奴何やってんだ!?このままやられちまう気か?!」
「ダメだ!!やられる!!」
憂弥も悲痛な叫びをあげた。同時に、リックが行動を起こした。
「もうこれ以上見てられん!!シャドウを助けるぞ!!」
リックは全速力で飛び立った。飛行しながら剣を抜き、背後からユイナルに切りつけようとする。その時だった。
「来るな!!」
今までうなだれるように死期を待っているかに見えたシャドウが、大声でリックを制した。今まさにとどめをさそうとしていたユイナルも、一瞬たじろいだ程の威圧感だった。
「来るな!!これは俺の戦いだ!引っ込んでろ!!」
シャドウはそう言うと、ユイナルに向き直り、
「散々勝手な事ほざいてくれたな……」
「なんだと?」
「ふざけるなよ……どんなに御託を並べようが、お前がアレスを殺した事実に変わりはない!!」
「貴様っ、開き直る気か?!」
ユイナルは荒々しく言い返す。しかし、シャドウは一向に動じる様子もなく、
「お前がアレスを想ってた事はわかった。俺に対する怒りも承知した。だがな……かといって、はいそうですか、とやられる訳にはいかないんだ!!」
シャドウは剣を持ち直し、ユイナルに向けた。
「お前が気に入らないのなら、いくらでも言い直してやる!!アレスの仇としてではなくとも、お前を倒さなければならない理由が、俺にはあるんだ!!」
「よかろう……私情ははさまん!!私も本来の目的のままに、貴様と戦おう!!」
二人は再び対峙して動かなくなった。お互いに相手の出かたを探っている様子だ。助けに入ろうとしたリックも二人の殺気に圧倒されるように、再び距離をおいて動向に見入った。