50.

その翌日、再び空に亀裂が生じ、アレスもまた次元の壁を越え、この寺の地に舞い降りた。その時、アレスは、玉座の間でもそうであったように、タスクを纏っておらず、我々の住む世界の人々と、なんら変わりのない様子だった。

「ここが異次元ね……」

アレスは周囲を見回しながら、ポツリと呟いた。物珍しそうに辺りを眺める。

(ウォーリピアと、本当によく似ている。異世界に来たという実感も湧かないな……私の故郷は、ちょうどこんな風景だわ)

アレスの故郷、カサノア……。

彼女は感慨深げだ。

(あれと本当によく似た建物があった……)

彼女は寺の本堂を見つめ(だが、カサノアはもう無い。あのシャドウが、何もかもめちゃくちゃにしてしまった)

アレスの表情にかげり見える。

(もういいのよ、気にしてないわ。カサノアはシャドウによって破壊された。この事実は変わらない……)

紫堂憂弥を探そう。そして、レヴィ・ストーンを奪い、ウォーリピアへ持ち帰ろう。二つのレヴィ・ストーンを得れば、エル・フィリオン様に太刀打ちできる者はいない。ライナー・フルのレヴィアス隊も、一網打尽だと、自分に言い聞かせる。

(奴らの神、ライナー・フルは、すでに時空の隙間に閉じ込められている。ヘル・ライナーズはいわば烏合の衆だ。必ずレヴィ・ストーンを手に入れよう)

おそらく、ライナー・フル復活をもくろんで、ヘル・ライナーズのレヴィアもこっちへ来ているだろう。奴らに気づかれないうちに、奴らよりも早く、紫堂憂弥を探し出さなくてはならない。

(今の所、紫堂憂弥の波動は感じられない。しかし、そう遠くではない気がする。波動を掴むまでは、地道に探すしかない。下手に動くと、ヘル・ライナーズも絡んで来て、やっかいな事になる)

近くにいれば、敵の波動は掴めるはずだ、とアレスは確信していた。