49.

二人の男がいた。そこはどこにでもあるような住宅地にある、平日は通う人も少ない寺だった。

大きな銀杏の木がそびえ、その向こうには厳かな門があり、表を行き交う車の列が見える。

正面の本殿の横には鉄柵があり、その向こうには墓地が広がっている。その墓地の中で、幾人かの男達が、何やら作業をしている。どうやら壊れた墓石を一つずつ修復しているようだ。僧侶が傍らで読経している。

「ここが異次元か……」

色黒の白髪の男が、それらの光景を見ながら呟く。それに答えるように、青い目をした金髪の男が静かに言った。

「サラマンダーが死んだのは、あの辺り……」

白髪の男は墓地の方を見ながら「リック、どうする?紫堂憂弥を探そうにも何の手がかりもないが……」

リックと呼ばれた男は柔らかそうな金髪に手をやり「このあたりに住んでいるのは間違いないんだが・・・」

失敗したな。せめて家の場所くらい聞いておくんだった、とぼやく。

「タスクを使って呼び出すのは危険だ。敵に察知される。できれば、敵に警戒させないうちに連絡を取りたいが・・・」

リックは続けて、「事が起こるのを待つよりないだろう。戦闘さえ始まれば居場所はタスクが感じる」

白髪の男は予想通りの答えに落胆する様子もなく、「それしかないか……。ところでリックよ、どうなんだ?紫堂憂弥とは、どれ程の実力を持っているんだ?」

リックは答えて、「ああ、あのサラマンダーの影とは言っても、所詮三次元の人間だ。お前でも勝てるだろ」

「なんか馬鹿にされてるみたいだな」

白髪の男は不満そうにぼやいた。

「すまん、すまん。とは言え、アデプトを破ったのは事実だ。可能性で言ったらかなりのものだ」

リックに向かって肩をすくめた。

「とにかく、ここには長い滞在になるかもしれん。落ちつける場所を各自で探そう」

「オーケー、リック。連絡はどうする?」

リックは「三日に一度ここで落ち合おう」と、答えると二人は門をくぐり別れて行った。