38.

「要するにあいつは、最初から自分の能力を白状してたわけだ」

「あん?どういうことだ?」

「わかんないか?あいつ自分のことを“真空のカッシェル”って言ってただろ?」

「ああ、そう言えば・・・なるほど、そういうことか?」

「つまり、あいつの周りは真空状態になってるってことだ。だから接近戦では酸欠になって意識が遠のいていく」

「で、それはおそらく間違いないだろうけど、どうするんだよ?」

憂弥の質問にリックは「距離をとって戦うしかないな」

「今と一緒じゃんか。そんなんじゃいつまで経っても倒せないぞ」

「お、さっきまで人を殺した罪悪感で戦えなかった奴の台詞とは思えないな」

「茶化すな。俺は俺なりに覚悟を決めた」

「覚悟ね・・・ま、いいだろ。そんじゃその覚悟を見せてもらおうかな」

リックは皮肉るように言う。

「何だよ?何か作戦でもあるんか?」

「もちろん。これでもヘル・ライナーズのナンバー5だぜ」

「そのすごさがわかんないけどね」

「あ、お前そりゃないだろ。ヘル・ライナーズってのはそもそも・・・」

「いいよ、そんなことは。あんたの凄さは深紅を助けたときに見せてもらった。いいから作戦を教えろよ」

「よぉし。この戦いが終わったら俺の凄さをきっちり説明してやるからな」

「わかったわかった」

いい加減にしろ、と憂弥は言った。リックは「お前、囮になれ」

「囮?」

「ああ、できるだけあいつに近づいて、派手に攻撃を仕掛けろ」

「近づいたら酸欠になっちまうだろ」

10メートルだ。その位ならあいつの能力の範囲外らしい」

「何でそんなこと・・・?」

「お前馬鹿だねぇ。さっきから俺が闇雲に飛び回ってたと思ってるんか?ちゃんと距離を測りつつ、どこまでが安全か確認し取ったんじゃ」

ヘル・ライナーズをなめるな。リックは最後だけ真剣な口調で言った。