37.
どのくらい意識を失っていたのだろう。戦いはいまだ続いていた。
リックはカッシェルと距離をとり、廃屋の屋上を飛び移りながらビーム攻撃を仕掛けている。憂弥はリックの動きを予想し、次に飛び移るだろう建物の屋上に飛び移った。
「リック。目、覚めたよ。状況は?」
「ご覧の通りだ。距離をとって探っているところ。しかし、こんなに離れてちゃ、直撃してもたいしたダメージを与えられない。そのうち疲れて奴に捕まるのが落ちだ」
「近づけないのか?」
「ああ、お前も味わっただろ?なぜか奴と接近戦をすると意識が遠のいていく・・・」
「リック、傷は?」
「 ああ、アレくらいの傷なら、タスクが治してくれる。お前がカッシェルとやりあっている内に、回復したさ」
リックの言葉とほぼ同時に、カッシェルの放ったビームが二人の間に炸裂する。リックと憂弥は二手に別れ、カッシェルに攻撃を続けた。しかし、リックの言うとおり、遠距離からの攻撃はなかなか当たらない上に、たとえ当たっても大したダメージを与えられない。徐々に疲労が蓄積されていくのは目に見えていた。
「これじゃ、埒が明かないぞ、リック!」
「わかってる!わかっちゃいるが・・・」
「いい、俺が仕掛ける!」
憂弥はそう言うとカッシェルめがけて急降下する。左肩から剣を抜き、着地と同時に切りつける。これまでの攻撃から突然切り替えたため、カッシェルは少なからず動揺した。憂弥の剣はカッシェルの肩口をかすめ、装甲の一部を吹き飛ばした。
「くっ」
カッシェルもまた後退し、距離をとる。しかしすぐに憂弥に向けて突進し、二人の剣は再び交錯する。
「?!」
またしても憂弥の意識が遠のいていく。
(やばい。離れなくちゃ)
憂弥はカッシェルの剣を受け流すと、後方に回り込み拳からビームを放った。同時に高く飛び上がり、廃屋の屋上に身を隠す。
(何だってんだ?また一瞬気が遠くなったぞ・・・)
「ふはははは・・・どうした?いつまで隠れているつもりだ?そんなことではいつまで経っても、このカッシェルは倒せんぞ!」
「くそ、あいつの言うとおりだ。どうするリック?」
「待て、焦るな憂弥。俺にはどうやら見えてきたぞ」