36.

(一体、何で俺がこんな目に遭わなきゃなんないんだ?そうか・・・人を殺したから・・・いや、そもそもなんで人を殺しちまうようなことになった?)

混濁した意識の中で、憂弥は自問する。なぜ、こんなことになったのか、と。しかし、答えは導き出されないまま、罪の意識が増すばかりだった。

(殺してしまった・・・殺してしまった・・・殺してしまった・・・殺してしまった・・・殺してしまった・・・殺してしまった・・・殺してしまった・・・殺してしまった・・・)

この先どうすればいいのか、憂弥の思考はそこで止まってしまう。ただ、このまま意識が遠のいていくのに任せていれば、少なからず楽にはなれるだろうと、漠然と考えていた。

「憂弥!」

(遠くで声が聞こえる。あれはリック・・・確かリック・ロシアン・ブルーという、ライナー・フル側の人間・・・なんであいつは深紅を助けてくれた?・・・深紅・・・巻き込んじまった・・・俺も巻き込まれたけど・・・深紅も巻き込んじまった・・・誰のせいだ・・・俺か?俺のせいで深紅が危険な目に?)

そうだろうか。本当に自分のせいなのだろうか。憂弥は自分もまた被害者だと感じている。

(けど、だからといって人を殺していいわけはない・・・それなのに、俺は・・・)

「憂弥!目を覚ませ!」

(また、リックの声・・・なんだよ、このまま寝させてくれ・・・そうすれば楽になれる・・・)

しかし、本当にそうだろうか。このまま死ぬことが楽なことなのだろうか。憂弥は答えを見つけられない。だた、かすかに残った意識の中に、リックの声は届いた。

「お前が倒れたら、二つの世界はどうなる?!」

(二つ・・・二つの世界・・・?どうだっていいだろ、世界なんて。そもそもそんなものを背負わされる筋合いか?世界がどうなろうと、知ったこっちゃない。ただ俺は・・・ただ・・・!?)

何を望むのだろう。憂弥ははっきりと答えを見つけ出した。

「世界がどうなろうと知らないけど、母さんや深紅、俺の周りのみんなが普通に暮らせればいい。それを脅かす奴がいるなら、俺には戦う理由がある」

憂弥は立ち上がった。