31.

声のするほうに振り向くと、そこには金髪の西洋人らしい青年が立っていた。身長は憂弥よりも高いだろう。180センチ以上はある。ややたれ目勝ちの瞳は深いブルーだ。

「何だ貴様は?」

男はカッシェルの問いには答えず「その石を渡してはいけない。紫堂憂弥よ」

「だ、誰なんだ?」

憂弥が問いかけるとほぼ同時に、カッシェルが驚愕の表情で「貴様、まさかリック?!リック・ロシアン・ブルーか?!」

「光栄だね。お前のような雑魚にも名を知られているとは・・・」

「何だと?貴様、愚弄する気か?」

「仲良くおしゃべりをするつもりはないということだ。吼えるな」

「貴様!」

いきり立つカッシェルを無視するように「紫堂憂弥よ、お前の懐にあるその石、レヴィ・ストーンをあの男に渡してはならない。いや、誰にも渡してはならない」

「あんた、誰だ?」

「君を探していたんだ、紫堂憂弥よ……」

「あんた一体……?」

憂弥はとっさに身構える。

「俺は味方だ。お前が信じるのならな」

「味方?」

「そう。俺の名はリック・ロシアン・ブルー。サラマンダーの部下だった男だ」

憂弥はそれを聞くと更に身構えた。

「じゃ、ライナー・フルの手下ってことじゃないか。何が味方だ?サラマンダーを殺したのはライナー・フルの手下じゃないか?!」

「話を聞け。ライナー・フル様はもういないよ」

「いない……どういう事だ?」

「女神カトラスによって封印されてしまった。時空の狭間にな」

憂弥は警戒を解かず「その女神カトラスってのは何だ?」

「時空を旅する神だ。ライナー・フル様もエル・フィリオンをも超越する神だ」

「なんだって?ウォーリピアの神様は二人だって聞いたぜ」

「そう。厳密に言えばそうだ。カトラスはウォーリピアの神ではない。この世界も含む、全ての世界の神だからな」

「お話はそこまでにしてもらおうか?」

カッシェルが痺れを切らしたように割って入る。

「どうやら、お怒りらしい。紫堂憂弥よ、君の彼女は俺が助ける。俺の名前はリック。一瞬でいい、俺を信用してくれ」

「リック・・・」