21.
5分とかからず市街地を抜け出した憂弥は、廃虚となった工場の跡地らしき場所を発見すると高度を下げた。
「死に場所は決まったか?」
着地と同時にアデプトは言ったが、それはすでに強がりでしかなかった。
憂弥の飛行スピードを目の当たりにし、ブレークマンのタスクに対してはもちろんのこと、初めてそれを身に纏ったにもかかわらず、苦もなく使いこなす憂弥のポテンシャルに、アデプトはすでに圧倒されていた。
二人が降り立った場所は、今にも崩れそうな建物が、その敷地中いたるところに建ち並んでいる、文字どおりの廃虚だった。辺りに人気は全くなく、近くに人の住んでいる様子もなかった。
「ここなら思う存分戦えるだろ。さっきの続きだ。いくぞアデプト」
憂弥は剣を抜くとじりじりとその距離を詰めた。
(こいつ、びびってる?なんかよくわからんが、精神的にはこっちの方が優位に立ってるみたいだな……)
憂弥の読みどおり、アデプトは憂弥の動きに合わせるように後ずさりし、とうとう廃屋の壁に追い込まれてしまった。アデプトは、自分が追いつめられているという事実に憤りを感じていた。剥がれた外壁が肩にふりかかったのを機に、その憤りは堰を切ったように溢れ、爆発した。しかし、その攻撃はやけくそのようにも感じられ、憂弥はあっさりと切り込みをかわすと、拳から黄色い光線を発し、同時に大きくジャンプした。
アデプトは剣でその攻撃を防ぎ、続いて同じように光線で攻撃しようとしたが、憂弥の姿が見当たらない。すでに憂弥はアデプトの後に回り込んでいて、アデプトの背中を蹴りつけ「こっちだ!」と叫ぶと、またアデプトの視界から消えた。
憂弥は驚きを隠せない。
(凄い。何もかもイメージ通りに動ける)
当初、隙を見て逃げ出そうと考えていた憂弥だったが、この圧倒的優位の状況下で余裕を感じていた。そうなるとアデプトから情報を仕入れ、現状を少しでも把握したいという欲求が湧いてきた。