11.

夕食後、三人でテレビを見てすごした。紫堂家としては久しぶりに母子以外の人間がいたことになる。

深紅と諒子が皿を洗うのを尻目に、憂弥はソファーで横になっていた。それを二人にチクチクやられる。どこにでもありそうな、ゆったりした家族のやり取り。そこにはぽっかりと穴の開いたような欠落感はあったが、誰もそのことにはふれようともせず、ひと時の安らぎを貪るように明るく振舞っていた。

深夜になり、それぞれが自室に引き上げた後、憂弥は自分の部屋の天井を眺めていた。学校の保健室と、ほんのちょっと趣の違うだけの天井。毎日のように見る天井。

儀式のようにしばらく天井を見つめ、何も考えずただ時間を過ごすと、憂弥は部屋の明かりを消した。それから寝付くまでの時間は、考え事をしてすごすのが日課だ。その日あったことやこれからのこと。母親や死んだ父親。友人やもちろん深紅のこと。とりとめもないことを考え、気がつけば眠りに落ちているのが常だ。

(それにしても、今日の深紅はおかしかった…。なんとなく、無理して明るく振舞っているような…。

…俺もか…。

たぶん、俺を見て合わせてくれたんだろう。母さんの前では今まで通り、いや、もしかしたら今まで以上に明るくしている俺を見て、あいつも母さんに心配させないように、「いつもこんな感じですよ」と伝えるように…。)

どのくらい経ったのだろうか、憂弥は夢を見始めた。

そこには未来から現れたかのようなコスチュームを身に纏った男がいた。黒く輝く鎧のような物を着たその男は、ひどく疲れている様子だ。いや、それだけではない。よくよく見れば腹の辺りから真っ赤な血が流れている。ひどい重傷だ。その男は何かを訴えようとしているが、憂弥には聞こえない。ただ憂弥には自分を呼んでいるような気がするだけだった。