突然空にひびが入ったが、おそらく誰の目にも止まらなかっただろう。それはほんの一瞬のできごとで、暖かい春の空はすぐに日常を取り戻した。
閑静な住宅地にある人気のない寺で、空に一瞬入ったひびから吐き出された二人の男達が、微動だにせずにらみ合っていた。
誰かが目にしたら大層驚く事だろう。彼らの容貌は異質だ。全身を金属ともプラスティックとも思えぬ甲冑に覆われ、手には青白い光を放つ剣の様な物を持っている。
さほど古びてもいない墓石に囲まれ、銀色に輝く甲冑を身に纏った男が、相手に剣を向けて言った。
「たった一人で二〇人も倒すとは・・・・・・。さすがはデス・サーティーンと言ったところか。だが、逃げられるのもここまでだ。随分、辛そうじゃないか?おとなしくレヴィ・ストーンを渡せ」
どうやら追われる者と追う者の関係のようだ。追われている男は全身を黒い甲冑で覆っている。頭部もヘルメットのような物で守られ、その形は美しい流線型だ。後頭部から額にかけて青白い光が漏れている。それはちょうど目の辺りにある二つの直線と同じだ。顔もガードされているため表情は読み取れない。しかし、肩が激しく上下に動いているところから、その著しい疲れが見られる。
「冗談じゃない。そう易々と渡せるか。どれだけの覚悟で盗み出したと思ってる?大体、こんな物があるから、戦いが起こるんだ」
「は!レヴィアのクセに何を言うか?戦いが無ければ我々の存在をどう説明する?」
「履き違えるな!レヴィアなんかいないに越した事はない!」
「いいだろう。ではまずはお前がいなくなれ!ライトスピア隊no.25フィルオン・アデプト。主ライナー・フルの名においてレヴィ・ストーンを奪回する!」