なんと言うか、
ぽっかり心に穴があいた感じです。
キム・ヨナが今年のショートで「死の舞踏」を演じていますが、
私の中で「死の舞踏」は02~03シーズンの太田由希奈のショートなわけですよ。
荒川さんの人生経験を積んだ大人の「トゥーランドット」もいいけれど、
太田由希奈の恋の痛みを知らない16歳の少女の「トゥーランドット」もまた良かったわけで・・・
そうそう、「ピカソダンス」なんてもう名作ですよ。
あれこそ太田由希奈の良さが惜しみなく詰まった名作だと思います。
「ダフニスとクロエ」も良かったなぁ。
なんであんな難しい曲を表現できるわけ?
流れるようなスケーティング、美しい姿勢と所作、緩急をつけた動き、音を丁寧に一つ一つ拾い表現する能力は誰も敵わないと思う。
手の角度、腕の位置、顔の角度、目線。
これら全てを頭で考え意識して表現するのではなく、感じたままを体全体で最大限に表現できる数少ない選手ではなかっただろうか。
本当は曲を完璧に解釈した上での表現なのに、まったくわざとらしく見えないのだから。
そして、これほどクラシックが似合う選手もいないし、これほどクラシックを表現できる選手もいないと思う。
きっと振付師もこの選手の振付をするのは楽しかったに違いない。
レベル4とか回転不足とか、そんなもんに一喜一憂しなきゃならない今のルールが本当に恨めしい。
ファンとしては「ジャンプがなくても良い」と思ってしまうが、競技者なのだからケガをして思うようにジャンプが飛べなくて悔しかったと思う。
神様は太田由希奈と言う人間に人並み外れた表現力は与えたが、足のケガと言う試練も与えてしまった。
でも、その試練を乗り越え、競技者として戻ってくる強さも与えた。
本当にもう、桜のような選手だよ。
一気に咲いて儚く散る桜の花のようだよ。