泌尿器科領域では頻尿、尿失禁、過活動膀胱や神経因性膀胱などに抗コリン作動薬が使われている。
抗コリン作動薬の副作用として有名なのは尿閉と口内乾燥だろう。
他にも以前から抗コリン薬の認知機能障害の危険性については指摘されていた。
しかし製薬メーカーから抗コリン薬の認知機能障害のリスクの説明は一度も受けたことがない。
残念なことにこのことについて知らない泌尿器科医も少なくない。
2011年のJournal of the American Geriatrics Societyの論文
Anticholinergic Medication Use and Cognitive Impairment in the Older Population: The Medical Research Council Cognitive Function and Ageing Study
を是非読んでいただきたい。
12,250症例の縦断的調査で抗コリン薬の認知障害への影響、死亡率への影響の可能性について言及している。
ただし、論文でも述べられているように、実際に抗コリン薬をしっかりと服用していたかどうかなどアドヒアランスの問題や2割近くの人がbaseline時には内服していなかったのに内服開始したり、その逆もあったりで、まあ、臨床研究一般的にありゆるstudy limitationはある。
そしてどの薬でも副作用の可能性があるのは当然で、この結果をもって抗コリン薬けしからんという訳ではない。
しかし、夜間頻尿が1回減る程度の効果でこの類の薬を長期処方してよいのか?
十分に利益と不利益を説明する義務があると思う。