三日遅れの投稿となりました
まずはすみませんでした
試験が迫ってきて、余裕がなくなってしまったのが原因だと自分では思っています。
なので試験の終わる当分のあいだ、小説の更新は控えたいと思います
なかには楽しみにしていてくれた人もいると思います。その人たちには本当に申し訳ない気持ちがあります。
え……?そんな人はいない
それでも見てくれてる人には突然ですがお休みさせてもらいます
本当に申し訳ありません
それでは今回の『Ghost』をよろしくお願いします。
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『Ghost~僕と君との365日~』
chapter12 吊り橋効果?
「柚葉、そんなにくっつくと歩きにくい」
「う、うるさいわね。怖がりのあんたのため、わざわざこうしてあげてるんだから、感謝しなさい」
「べつに俺は怖くなんかないんだけど………」
先程からずっと俺の腕にしがみつく柚葉。正直歩きにくかったし、色々なものが当たって、耐えるのが大変だった。
「それにしても、さっきからなんにも出てこないな?」
「出てこなくていいもん」
俺の腕にしがみつく柚葉の力が強くなる。本当に柚葉はお化けとかが怖いらしい。
だけどここまで来て、なににも出くわさないのは、別の意味で恐怖が芽生えてくる。
「柚葉、怖いんだろ」
「こ、怖くないもん」
「ほれ、あそこの茂みになにか……」
「きゃぁぁぁ!!」
「あがぁぁぁ!!」
しがみつかれていた腕が、あまりの力にあれえない方向へと曲がりそうになる。
「ごめん、柚葉!!それ以上力を入れられると、本当に折れる」
「幽が驚かすからでしょ!!」
森にこだまするのは二つの悲鳴。お互い(俺は暴力によって……)驚かしあっただけになってしまった。
それにしても、本当に叶のやつが出てこないのは、おかしい。前の二組はしっかりと驚かされていた。それも早い段階で。
「本当になんにもないなぁ………」
「幽くん『吊り橋効果』って知ってますか?」
「わぁ!!」
突然耳元で叶の声。それも耳に息を吹き込むかのようにして囁いてきた。
「ゆ、幽!?いきなりどうしたの?」
よりいっそう強く腕を抱き込む柚葉。それ以上捕まれると、俺の理性がぶっ飛びかねないほどに、柚葉の胸が俺の腕をおおっていた。
「そんなことがあるから驚かしたくないんですよ!!」
「いや、なんでもない。ちょっと突然風が耳をくすぐったから驚いただけだよ。」
このままでは叶のわがままのせいで、肝試しがつまらないものになってしまう。しかし、叶を説得するにも、柚葉の前で叶と話すのはむずかしい。
それなら……
「おい柚葉、なんか聞こえないか?」
「な、なんかって、なによ!?」
「俺たちの名前を呼んでる?」
「な、なにも聞こえないんだから!!」
俺の腕を抱え込んだまま両の耳を塞ぐ柚葉。作戦が思いの外成功した。
「どうせ私は幽霊ですから、驚かすことしか能がありませんよ」
「叶。あとで一緒にまわってやるから、今は仕事してくれよ」
「それって、デートのお誘いですか?」
「それでいいよ」
「わかりました。全力で驚かさしていただきます」
いじけていた姿から一転して、笑顔で敬礼する叶。全力になってくれたのは嬉しいけど、突然全力で襲いかかられても逆に怖い。
「ほどほどにしてくれよ……」
「まずはこれです」
叶は俺の言葉を無視して、俺の腕をを抱え込む柚葉の側までいき、
「えい」
ぺた
っという音と一緒に
「きゃぁぁぁ!!」
「うぎゃぁぁぁ!!」
二つの悲鳴が森のなかをこだまする。
「幽!!なんかぬるっとしたのが!!」
「おちつけ柚葉!!俺の腕は、そっちには曲がらない!!」
叶の手に持っていたものが、ちらりと見える。灰色の胴体に、ところどころにある黒い染み。そしてぷるぷると揺れ動くそれ。痛みに堪えながら至った結論。それは……
「おちつけ柚葉!!あれはただのこんにゃくだ」
「こんにゃくが浮いてるわけないもん!!」
すでに視覚を閉ざした柚葉には、叶の持つ(柚葉の視点からは浮いている)こんにゃくは、確認できない。
「いっかい深呼吸しよ。それで落ち着くかもしれない」
とにかく今は、叶のアナログな驚かし方にツッコミを入れるよりも、柚葉の落ち着きを取り戻すのが先だ。俺は柚葉に深呼吸を促した。
柚葉は俺に言われるがままに『すー……』『はぁ……』と深呼吸をする。
そんな美味しいタイミングを見逃すはずもない叶は、すかさず柚葉の耳元までいき、小さな声で一言囁く。
「きゃぁぁぁ!!」
盛大な悲鳴とともに、俺の腕の関節を逆方向に曲げようとする柚葉。しかし、その攻撃は突如として止んだ。
「たすかったぁ……」
止まった理由は簡単。腕にしがみついていた柚葉が俺の腕を離して、その場に座り込んでしまったからだ。
「柚葉?」
「幽、腰抜けたかも」
どうやら柚葉は、あまりの怖さに腰が抜けて、立てなくなってしまったようだ。
「大丈夫か?」
「大丈夫じゃないかも」
「はぁ……仕方がないか」
俺は柚葉の前で腰を下ろす。
「乗れよ」
「い、いいわよべつに」
「いいから早くしろ。どうせ動けないんだから」
「で、でも……」
口ごもる柚葉。顔を覗くと、真っ赤になっていた。
「乗らないなら、無理矢理お姫さまだっこするぞ」
「わかった!!乗るからそれだけはやめて」
「なら早くしろよ」
「重いよ……」
「気にしねぇよ」
真っ赤になった柚葉はゆっくりと俺の背中に手を添え、覆い被さり、体重をかける。たったそれだけの行動がやたら長かった。
「ちゃんと掴まれよ」
「……うん」
腕を首に巻き、柚葉の体重が完全に乗ったことを確認して、俺はゆっくりと立ち上がる。
「重くない?」
「大丈夫だ。おもったほどでもないから」
そう言ったとたん、叶に頭を叩かれた。
「幽くん、ダメですよ!どんなに重くても、『軽い』って言わないと。どんなに重くても」
ずいぶんと失礼なやつだというツッコミは置いといて、今は一刻も早くみんなのところに戻ることが必要だった。
「無視するんですか幽くん。それならもっと驚かしますよ」
そう言って柚葉の背後に引っ付き、また耳元で囁き始めた。
「ゆ、幽!?またなにか聞こえるよ!?」
「気のせいだ」
「でも、『イチャイチャするなぁ』って言ってるよ!?」
「幽霊の嫉妬なんて無視しとけ」
「ひぃ!!」
「どうした!?」
「なんか、背中に手の感触が!?きゃぁ!!やめて」
背中で動く柚葉。強く抱きつくためか、俺の背中には自然と柚葉の胸があたる。それに加えて動き回るために、気になってしかたがない。
「おちつけ柚葉。そんなに動かれるといろいろとまずい」
「そんなこと言ったって……あ!!」
パチン、という音が背中で聞こえた。
「うう……」
「柚葉どうした?」
「こっち見ないで!!背中を意識するも禁止!!」
無茶を言う。ちゃんと掴まってるかを確認するのに、自然と背中を意識してしまう。先程とはうって変わって、さらに柔らかいものが俺の背中を圧迫する。
「柚葉もしかして……」
「それ以上言ったら殴るから!!」
なおも動き続ける柚葉。そのせいで、自然と背中に意識が集中し始める。男の子なんだからしかたがないのだか……
「あんまり動かれると、俺も男の子なんだから………」
「意識しなきゃいいのよ!!」
「幽くんから離れてください」
柚葉をおぶる俺。赤面になりながら動き続ける柚葉。それをイチャイチャしてると思って妨害しようと、柚葉を怖がらせる叶。驚きまた動く柚葉。
悪循環が続き、俺の理性も限界が近づいてくる。
「幽、なにかまた声が聞こえる!?」
「落ち着け。バランスが崩れたら怪我をするかもしれない」
「ご、ごめん……」
「幽くんごめんなさい」
今の言葉は叶に言ったつもりだったが、叶の存在を知らない柚葉には、俺の言葉は自分へと言われたと思ってしまっただろう。
当然柚葉に言ったわけじゃない。
「…………」
「…………」
しばらく沈黙のなか、俺たちは歩いていた。それが周りの暗さをより強調しているようにも思えてならなかった。
「ねぇ、幽。なにか話なさいよ」
「突然どうしたんだよ?」
「なんか不気味だから……」
「やっぱり怖いんだろ」
「こ、怖くないわよ!!」
頭を何回も叩かれる。
「あ、暴れるなって。暗くてよく見えないんだから」
「電気つければいいじゃない!!」
「もう目が慣れたから、こっちのほうがいい。だけど暗いから暴れないでくれよ。危ないから」
「わ、わかってるわよ。幽が変なことしなければ」
「これは不可抗力だろ!!」
「幽の変態!!」
再び暴れだす柚葉。そんなに動かれると、また気になってしまう。
「やめろ暴れるなって!!危ないから」
「幽が変態なのがいけないのよ!!」
「本当に落ち着け。あぶっ……つめたっ!!」
ポチャンという水の音とともに、俺の足にはどんどん水が浸水していく。
「なんだよこれ……小川?」
月明かりだけを頼りに、足元を見ると、幅が一メートルもない小さな小川に足を浸けていた。
「幽、大丈夫?」
「靴の中が重症かな……」
足をあげてる。それだけで靴のなかに入った水は、少しずつ漏れていく。
靴下は、最悪の状態。歩けば自分の体重で絞れるほどに浸水していた。
しかし、幸運にも足を挫いたりしていなかった。
「これくらいなら平気だよ。もう少し我慢してくれよ。柚葉」
「ねぇ幽。みて……」
背中にいる柚葉は肩越しから俺の前方を指差す。俺もその指先を追いかけるようにして、指差す方をみる。そこに広がっていたのは……
「もしかして、ホタルか!?」
夜空から差し込む月の光に負けじと光る、ホタルの群れ。小川も木々も、幻想的な光が照らしていく。
「キレイだな…」
「ほんとね……」
柚葉の頭が、自然と俺の肩へと乗る。
言葉も出ないほどの幻想的な光景。都会なら間違いなく見ることのない自然の光。
俺も柚葉も言葉を奪われてしまう。
しばらく幻想的な光景に目を奪われていると、不意に、ホタルの光が小川に沿って道を作る。まるで俺たちの帰る道を教えているかのように。
「そろそろ行くか……」
「そうね……」
俺たちは歩き出す。ホタルの光が示す道を通り。足元は月明かりとホタルの光でよく見える。そして、道の先にも、二つの人工的な光が
『おぉーい』
「柚葉っち!!幽ちゃん!!」
「二人ともいるかぁ!!」
「こっちにいるのか?」
「大丈夫、みんなが教えてくれてるから」
戻るのが遅くなってしまったために、みんなが探しに来てくれたみたいだ。迷子になったわけでもないのに、大袈裟な話だ。
「もう少し楽しみたかったのに…」
「なにか言ったか?」
「なんでもない。はやく行きなさい、バカ幽」
ぺしぺし……と、柚葉に頭を叩かれる。
「わかったから、あんまし叩くな」
「なによ、バカ幽のくせに」
「振り落としても知らねぇからな」
こうして俺たちはみんなのもとへ戻ってきた。迷子になったわけでもないのに、柚葉に泣きつく志乃。必要以上になにがあったかを聞いてくる奏太。叶の愚痴を聞く芙美。周りをキョロキョロ見ている冬馬。
なにもかもがいつも通り。そんな俺たちの関係。絶妙な距離で決して縮まらない距離。誰も縮めることも、遠ざけることも望んでいない。少なくとも俺はそうだった。
他のみんながどう思ってるかはわからない。だけど、少しの変化が、絶妙なバランスを崩す。それだけは俺は望んでいない。
「ねぇ柚葉っち……」
突然の志乃の声。もちろん無視する理由もないから柚葉は自然と返事をする。
「なんで柚葉っちのブラ外れてるの?」
空気が一瞬にして凍りついた。
「幽!!柚葉ちゃんに何したんだ!!」
「場と空気をわきまえたほうがいいですよ!!幽」
「サイテー!!幽くん」
「……最低」
「まてって!!みんな誤解してるって!!なぁ柚葉」
「そう。あれは事故よ!!べつになんにもなかったし」
「二人で誤魔化してるのがなお怪しいわね」
「だから誤解だって!!」
「誤解だってってば!!」
それぞれから罵倒の嵐。そんな俺たちの関係。絶妙な関係。それにも当然終わりがあることを、俺たちはこのとき、知っていても、見て見ぬふりをしていた。
to be continued
