生番組は既に始まっていた。
自分の出番が怖い…
女友達に弱音を吐いたが…
女友達も緊張していた…
心臓がドックンドックンと激しくなっていく。
…そんな中、ついにADの方が控え室の私達を呼びに来た。
「出番です!急いで下さい」
ついに時間が来てしまった!
あ~本当にどうしよ~!
羽織っていたブラックミンクの毛皮を脱いで
水着姿で長い廊下を急ぎ足。
急ぎ足のADの方に、
「スミマセン!私達、生放送初めてで、どうしよう!本当に怖いんですよ~っ!」
とか言ったけど、ADの方はそれどころじゃないらしく
「転ばないように気をつけて下さ~い!」
と言いながら急ぎ足で先頭に…
スタジオに入る…
ライトが眩しい
兎に角、暑い…水着でいるのに。
タレントさん達が沢山いる
目の前のテレビモニターに自分が映っている
スタジオのカメラの後ろには
沢山の関係者の方々がいて…
緊張しながらも、
スタジオの中って、こんな風になっているんだあ!…とか思った。
マイクを向けられている時は、緊張で何を話したのかあまり覚えていない。
生放送終了直後の事もあまり覚えていない。
…覚えている感覚と光景は
タクシー券を貰って、某テレビ局⇒自宅まで帰った事と、
高速道路を走るタクシーの中、
見慣れた地元の夜景が見えてきてホッとした事…
煙草がとても美味しく感じた事…。
帰宅すると母だけがまだ起きていて
「どうだった?」
とか聞いてきた。
母と数分話した後、母は寝室へ。
一人リビングに残った私は部屋の電気を消し、
録画しておいた番組の自分の出ている所だけを
ぼーっと眺めた。
…テレビに…アタシ、さっき出たのか…
でも、まだ…なんか
…テレビに出たという実感が湧かない
…と、いうより
思ったより湧いてこない
ただ、とってもとっても身体も神経も疲れていて…
きっと、
表情は窶れていただろう
真っ暗の部屋がやけに落ち着いた…
早く眠りたい…眠い
寝室のベッドの中
「もうこれで思い残す事はないな…」
最初で最後の水着出演…
長く感じた大晦日…
元旦という事も忘れ
疲れきっていた私は直ぐに深い眠りに就いた。