読んだ本の数:7
読んだページ数:2584

イノセント・デイズ (新潮文庫)イノセント・デイズ (新潮文庫)感想
深くて重い。考えさせられる一冊でした。幸乃の母ヒカルが交通事故で亡くなったのを境に、幸せだったはずの彼女の人生の歯車が狂い始め「必要とされたい」その想いが強すぎた故に周りから都合のいいように利用され裏切られてきた彼女。そんな絶望しかない彼女をこちらの世界に踏みとどまらせることが正義なのか、それとも彼女の望みどおりの道を選ばせるのか。事件の真相がわかり始めたときに、きっと最後に今までのことが覆されるのだろうと─。この話とは関係ないですが「店長がバカすぎて」と同じ作家さんということにちょっと驚きでした。
読了日:11月21日 著者:早見 和真


スロウハイツの神様(上) (講談社文庫)スロウハイツの神様(上) (講談社文庫)感想
数年前に購入したのに存在を忘れていた本。それを見つけたってことは、今が「読むべき時」なのかなと。新幹線の中で読みました。上下巻でありながら、上巻の倍ぐらいありそうな下巻の分厚さにちょっと不安を隠せないのですが笑 なので上巻はサクサクっと読めました。ほぼほぼ登場人物たちの紹介で、起こるであろう?事案を含みながら下巻に続きます。環がカッコイイなと思います。スロウハイツの住人たちそれぞれにいいところがあり、うまく調和が取れていたんだとわかりました。新しい住人によってこのバランスがどうなるのかも楽しみです。
読了日:11月18日 著者:辻村 深月


暗いところで待ち合わせ (幻冬舎文庫)暗いところで待ち合わせ (幻冬舎文庫)感想
この表紙絵はもったいない!心温まる話なのに(殺人事件は起きるが)、この表紙絵+タイトルのせいでホラーだと思っていた人も多いのでは!?盲目の女性ミチルが1人で住む部屋へ、殺人事件の容疑者アキヒロが潜伏するという、その場面だけ想像するとホラーよりになっちゃうけど、描かれている風景は静かで穏やかな時間。不器用で似たもの同士の二人だったからこそ理解し合えたんじゃないかな。とても丁寧な心理描写で読みやすい作品でした。だからこそ、周りにもオススメしたいのに、やはりこの表紙がネックとなります。あー、もったいない!
読了日:11月15日 著者:乙一


要介護探偵の事件簿要介護探偵の事件簿感想
岬先生シリーズ「さよならドビュッシー」の前奏曲ともいえる作品。要介護となった玄太郎おじいちゃんの活躍話。先にドビュッシーを読んでいたので、玄太郎おじいちゃんが懐かしく思えたのと同時に、ページ数が残り少なくなるにつれて寂しくもありました。口うるさく頑固なおじいちゃんですが、介護士のみち子さんもそれなりに毒づいていたので、二人の相性は良かったんでしょうね笑 最後の章で岬先生が登場し、おじいちゃんと一緒に事件解決に向けて動いてくれたのが良かった。パワフルおじいちゃんの活躍をもっと見たかったです!
読了日:11月14日 著者:中山 七里


人形館の殺人 (講談社文庫)人形館の殺人 (講談社文庫)感想
館シリーズ第四弾。今回も、あー、どーせ抜け道とかカラクリ部屋的なものがあるんだろうなぁと予想を立ててたのがハズレました笑 そして皆さんの反応を見ると、最初の方でオチに気づいた方も多いようですが、もちろん私は最後までわかりませんでした笑 「人形」というアイテムで怖さ倍増、こんな場所には絶対に住みたくない!読み終えたあとは複雑でしたね。犠牲者はもちろん、犯人も可愛そうでした。毎回のようにハマるまでに時間を要しますが、中盤からはどんどんスピード増しで進んでいけるので面白い!次は時計館だ!
読了日:11月10日 著者:綾辻 行人


どこかでベートーヴェン (『このミス』大賞シリーズ)どこかでベートーヴェン (『このミス』大賞シリーズ)感想
岬洋介シリーズ第4弾。ベートーヴェンの月光と悲愴を聴きながら読了。彼が高校生の頃の話でしたが、才能ある若者は同年代から疎まれるのでしょうか。彼を快く思わないクラスメイトの妬みもいいところ。それに対し担任である棚橋先生の言葉が響きました。岬さんの難聴が発症したのもこの頃だったんですね。殺人事件が起きるも、クラスメイトの異様さが際立った作品に思えました。そして何よりエピローグで明かされた正体にすべて持っていかれました笑 同時収録されていた岬検事の短編も面白かったです。
読了日:11月04日 著者:中山 七里


マチネの終わりにマチネの終わりに感想
あまり恋愛モノは好みませんが、この年代の話だったからこそ、心に染みたのかもしれません。純愛ですね。最後まですれ違う2人に「もどかしい」の一言です。運命のイタズラ(早苗の妨害)に翻弄され、別々の道を選んだときのそれぞれの心情が苦しかった。2人の再会を見たいばかりにページが早く進みました。あの日から5年の歳月が流れ、2人の環境も変わり、互いの心境にどういう変化があったのか、これから先の2人がどうなるのか、全ては読者に委ねられる形となりましたが、とても切なくてとても美しいお話でした。
読了日:11月02日 著者:平野 啓一郎