まえおき・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
最近、佐野洋子さん(故、絵本作家、児童文学、エッセイスト)にドはまり中。読むうちに児童文学ってなんてスバラシイのだろうと思う。ビジュアルがないのに文字だけで絵が完成してしまう。その繊細な表現で日本語の美しさを改めて感じるのです。子どもの頃は感じもしなかった。あぁ、勿体ない。友達のゆうこちゃんに感化され「江戸川乱歩」シリーズを読んだ記憶しかない。
今年になって、散歩をするようになりました。お風呂もゆっくりと入る。朝はキレのあるラジオ体操をして、夜にはヨガストレッチ。仕事の忙しさは益しているが、今まで出来なかった事が毎日出来る。
どうして、そんなにせわしなく過ごしていたのだろう。
散歩しながら、お風呂に入りながら、物語を考える。散歩先ではノスタルジックな気持ちになれる。子育てが終わりつつある同級生と会う時間も増え、思い出話に花が咲く。そして幼少の頃の思いにふけるのです。
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盗んだ宝物
小学1年生だったと思う。私の家からすぐのところに巨大な白い建物があった。なんだか近代的で田舎町で1番立派な建物だったように思う。ある学校の帰り、その白い大きな建物の敷地内でキラキラ光るものを見つけた。歩道の側だったので、そのキラキラ光る石に駆け寄った。初めて見た。キラキラ光る石は沢山落ちていて、私は興奮した。お母さんと2人のお姉ちゃんにも言わなかった。何だかとても特別な事に感じたからだ。毎日、学校の帰りにその場所に立ち寄った。時々は、一旦家に帰り、その場所までそのキラキラ光る石を見に行った。
そして私はある日、お友達のゆうこちゃんにもらった花柄の箱を持って行った。その花柄の箱はゆうこちゃんのお誕生日会のお土産にもらった大事な宝物だった。ゆうこちゃんは小学校に入ってから仲良くしてくれたお友達で、色白で美人で賢かった。大きな家に住んでいて遊びに行くと緊張した。日本舞踊とお琴を習い、ゆうこちゃんのお母さんも美人で立派な人に見えた。
ゆうこちゃんは私の憧れだった。その憧れのゆうこちゃんにもらった大事な箱にキラキラ光る石を入れてみた。その光る石は益々輝いて見えた。箱に詰める間あたりをキョロキョロみまわしたが、誰も見ていなかった。箱の蓋をしっかり留めて、ウキウキする心を抑えながら家に帰った。やっぱり、お母さんとお姉ちゃん達には言わなかった。私は、毎日、大事な箱に入ったキラキラ光る石を家族に見つからないように神経を使い、そしてうっとりと眺めた。綺麗と思った。どんなものよりも特別に見えた。
何日か過ぎると、大きな白い建物の一部を盗んだ気になってきて、恐くなってきた。毎日後ろめたくて生きた心地がしない。綺麗な石は綺麗でなくなってしまった。私はキラキラ光る石を元の場所に戻しにいった。返す時もあたりをキョロキョロ見回した。お母さんにもお姉ちゃん達にも言えなかった。
あとがき・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
巨大な白い建物は町役場の事で、キラキラ光る石は割れたガラスの破片でした。子どもって…いや、私って馬鹿だよなぁと思い出しながら書きました。読んで頂き、ありがとうございます(ペコリ)