利用者さんの“好きなこと”を大事にした関わり
ユアハウスでは、利用者さんがユアハウスに通所しないときでも、スタッフや他の利用者さんが利用者さんのお宅に伺うことで、利用者さんの在宅での生活を支援しています。今日は、そんな日のエピソードをご紹介します。
ユアハウスの利用者さんに、以前、ピアノの先生をやっていた方(I..R)がいます。
また、O.Yさんは、以前、ピアノを習っていたこともあって、ピアノを弾けるI..Rさんのお宅へ何回も通ううちに、
I..Rさんのことを“先生”と呼ぶようになりました。ユアハウスで、先生と一緒に撮った写真を見ていることもあります。
12/14(月)、スタッフとO.Yさんは、“久々にピアノを習いに行こうか♪”ということで意気投合しました。他の利用者さん2人を誘って行くことになったが、O.Yさんは、早々に準備を終えて、誰よりも先に靴を履いて、玄関で待っていました。車の中でもワクワクを隠せないようでした。
I.Rさんのお宅に着くと、“あら~、先生”と握手し、目を輝かせていました。隣にある自販機で皆それぞれにコーヒーやジュースを買うと、グランドピアノが置いてあるリビングでの演奏会が始まりました。
O.Yさんは、先生の横に座り、I.Rさんの十八番である「エリーゼのために」をはじめ、「乙女の祈り」、「トルコ行進曲」などに真剣に耳を傾けていました。
先生に“あなたもどぉ?”と勧められ、本当の先生と生徒のような感じで、ドレミの練習から始まりました。
先生の指導にも熱が入り、30分近く練習すると、“ドレミファソラシド~♪”が弾けるように・・・。しかし、O.Yさんは、“まだ練習が足りないわ~”と照れ笑いされていました。
別れは辛いですが、帰りの時間が迫っていたので、素敵な思い出として、グランドピアノの前で皆で写真を撮りました。
ユアハウスに戻る車の中でも、O.Yさんは、“練習しなきゃね”と張り切っていました。
ユアハウスに戻っても、興奮がおさまらないまま席に着くと、スタッフや他の利用者さんが書いていた年賀状が目に留まったようです。
(ユアハウスでは、利用者さんが最も“書きたい”と思う人に、年賀状を書くことになっていました。
日ごろお世話になっているけれども、改めて“ありがとう”の気持ちを言えずにいるお嫁さんや息子さんに対して書いている方もいらっしゃいました。)
年賀状を書いている横に座り、“これ、1枚もらってもいいかしら?先生にご挨拶したいの!”と、先生宛に年賀状を書き始めたのです。
“明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。”と、一字一字しっかり丁寧に・・・。
ユアハウスでお二人が知り合い、昔を懐かしみピアノを習い、“先生と生徒”という関係を築いていく。
この日も先生のお宅へ行き、ピアノを習った興奮や思いが冷めないうちだったからこそ、“書きたい”と思う人へ年賀状が書けたんだと思います。
認知症で、“~したい”という気持ちを表現することが難しい場合も多いが、今回、利用者さんの“好きなこと”に着目して接するなかで、利用者さんが“~したい”という気持ちを表現できるような関わり方ができたことは、良かったと思います。
日ごろから、利用者さんの一瞬の思いを大切にしていきたいと思った瞬間でした。