先日、Netflixのドラマ「ビューティ・イン・ブラック」を見終わった。
シカゴ郊外のストリップクラブを中心としたクライムサスペンスで
黒人映画やドラマの中心人物であるタイラー・ペリーが監督。
内容は、ストリップクラブに売られた少女の安否と共に
裕福な黒人一家の秘密が暴かれていくというもの。
嘘、裏切り、暴力、SEX、ドラッグ、愛、
ヒットドラマに必要な全てが詰まっていてもう息が
出来ないくらい。
例えるならウニ・イクラ、中トロがたっぷり乗った海鮮丼に、
馬刺しとキャビアとフォアグラもトッピングされたような、何が美味しいのかが分からなくなる混乱した後味と言えなくもない(笑)
タイラー・ペリーが全てを注いだ感があって見応えがある。
良い子の皆さんにはお勧めできない激しい内容ながら
あり得ない展開が続く片時も目が離せない作品だ。
私はストリップクラブには行ったことがない。
がしかしアメリカのストリップクラブは大体分かっているつもり。
ヒップホップのミュージック・ヴィデオには良く出てくるし、ドラマや映画でもお馴染み。
人気No.1ラッパーのCARDI Bは元ストリッパー。
キム・カダーシアンの寝室にはポールがありエクササイズしているとMTVの番組でダンスを披露。
「BEYOND THE POLE」というアトランタのストリッパーのリアリティ番組もヒットした。
プロアスリートはストリッパーと結婚したりもする。
日本で想像するストリッパーとは違う、派手であっけらかんとした印象だ。
札幌のクラブでもポールダンサーの踊りは何度も観ていたので
全く初めて見るものではない。
ニューヨークには沢山のバーレスクショーの劇場がある。
シルク・ド・ソレイユを親しみやすくコメディ要素も入っている。
今年1月に観に行ったバーレスクは脱いでも胸だけまで。
アメリカで最もストリップが盛ん(?)と呼ばれるのは
アトランタ。(実は日本人の憧れのポートランドにも多いと聞く)
アトランタのMAGIC CITYというストリップクラブのドキュメンタリーを観た。
ここはヒップホップアーチストを始めセレブ御用達。
ドル札を雨のように降らせる A Meke It Rainというのもここが発祥。
そんな中、11月に音楽ライターの渡辺志保さんがNYにいらっしゃり、私の私の番組に出ていただいた。
番組では触れなかったものの、志保さんはMAGIC CITYを経験しており
MAGIC CITYのフォトグラファーAKIさんは日本の女性だ。
志保さんのポッドキャスト「ヒップホップ茶話会」に
出演したときの動画をぜひご覧くだされ。
前置きが長くなったが、先週ブルックリンにあるポールダンスのスタジオに行ってきた。
その建物の一階はホリスティックなお店。
アロマグッズや化粧品などを扱っている。
その地下には鍼灸のクリニック、ポールダンススタジオが入っていた。
スタジオに入ると前のクラスの生徒さんたちがポールの高いところで演技をしていた。
彼女たちは多分プロのバーレスクダンサーかもしれない。
ニューヨークでダンスが出来る人口は世界一だろう。
俳優もダンスが必須だからだ。
ダンサーも色んなダンスを学ぶ。
私が観たバーレスクショーもメインのゲストダンサーは日本人バレリーナだった。
スタジオに入った自分も気分はマジックシティのオーディション(笑)
案内されたロッカールームには20センチ以上のヒールの靴がずらり。
え?これ履いてやるのですか?
とドキドキしたものの、初心者は裸足。
肌がポールに密着出来るようにショーツを履くという決まり。
ポールは10本以上あった。
最初は自己紹介と参加動機を順番に言っていく。
自分に自信が持ちたいから、柔軟になりたいから、ダンスの幅を広げるために、好きだから、、
などいろいろ。
私は正直に「マジックシティのドキュメンタリーを観て
その凄さに感化されたから」と言うと笑いが起きた。
軽いコンディションの後でポールに捕まって足を床から離す動きから。
先生はぽっちゃりしていて黒のガーター的なタイツを履いていた。
失礼ながら一見重たそう。
しかし先生がお手本で踊るうちにしなやか、
かつセクシーな踊り子の世界が始まり、
ぽっちゃりなんて言うのは忘れてしまう。
これがダンスが視覚に訴える素晴らしさだと思う。
私は20代の白人の女性とペアになって練習。
一人がポールを使うごとにスプレーとタオルで消毒する。
クルクルと回転する練習をするが鏡に映る自分に笑ってしまいそうになる。
何も考えず先生の動きを見た後にはすぐ出来たのに、
頭で足をこうして、ああしてなんて考え出すと出来なくなる。
思考が邪魔するのだ。
身体に教えてもらうのが最善であることをこの年齢で知ることになる。
最後はフリースタイルで習った動きを入れながら踊る。
もうこの時点でストリップが云々ではない。
皆踊り子アスリートだ。
羞恥心はそのまま動きに出てしまう。
失う物は何も無い。
払った料金分踊ってみようではないか!
気分はマジックシティ。
スローな曲とアップテンポ、
クルクル歩いて回ったり、腰をくねらせたり。
さあ、これが私の姿です。
くるくる回って降りたところ。
いやあ、初めての体験をするって良いですね〜。
自分にもまだ伸び代があるんだなって思えた。
そしてマジックシティのダンサーたちには敬礼です。
ポールダンスはものすごい身体能力、ダンスのスキルが必要なのだ。
もちろんスタイルが良ければそれに越したことはないが、
ダンスというのは意識的に官能的に演じることができる、
つまり自分の身体をダンスによってより良く見せることが
可能という事だ。
100年足らずの短い人生ですもの、どんな身体に生まれようと動きひとつで自分を演出出来る。
人生短い。
一度体験してみて欲しい。
と、今日地下鉄に乗るとポールは私が独り占め。
掴まりながら、強弱をつけた持ち方をしている自分が
いた(笑)