こんにちは。
株式会社Venture Bank Next の土谷です。

 

2020年12月11日、ベンチャーバンクグループの会長秘書だった私は、法務局に法人登記を申請し、株式会社Venture Bank Next の代表取締役社長になりました。

 

会社を設立するときに行う手続きはいくつもあるのですが、法務局に法人登記申請書を提出した日を、会社設立日と考えるのが一般的です

 

URBAN CLASSIC PILATES は2023年12月、天神橋筋六丁目、森ノ宮、水天宮がオープンすると32店舗になり、同時に会社設立から三年を迎えます。

 

起業した会社の半数以上が、三年以内に倒産すると言われていますが、三回目の会社設立記念日を迎えられることを、嬉しいと思う気持ちはほとんどありません。

 

世間一般では、会社設立から三年でこの規模まで会社が大きくなれば、十分に高く評価されるでしょうし、他の人にこれと同じことができるとも思いません。

 

でも、良い状況が続くとは限りませんし、いつ何が起こるかなんてわかりません。

 

会社を経営していれば考えるのはそんなことばかりで、不安なことなんていくらでもあります。

 

それが社長です。

 

私が最近、社長に必要だとあらためて感じていることは、知識、忍耐力、決断力、そしてセンスです。

 

あらゆる分野に幅広い知識があるのはあたりまえで、失敗しても立ち上がれる忍耐力、いざというときに正しいジャッジができる決断力、そしてセンスです。

 

偉そうな言い方に聞こえるかもしれませんが、最後の一つだけは、ない人には厳しいと思います。

 

多くの人は、努力すれば何とかなると思っていたり、会社を経営することに対し、上手くいくイメージばかり持っていたりしますが、夢と現実は違います。

 

 

通帳の残高を気にしながら、優先度の高いことから片付けて、会社を大きくするために時間を使い、航路から外れていないか確認をしながら、毎日のように多くの決断をしなければいけません。

 

正解はないのに不正解はある、そんなことばかりです。

 

社長でいる以上、それはずっと続きます。

 

本気だからがんばれるとか、そういうことではなく、気持ちだけで社長を続けることなんてできません。

 

事業を成功させるスキルがなければ、すぐにお金がなくなります。

 

今なら、パソコンが一台あれば誰でも起業できるのかもしれませんが、少ない初期投資で始められる事業であれば、それだけライバルも多く、より確かな競合優位性がないと、そもそも事業として成立しません。

 

投資額が大きい事業も、返済できる見込みがなければ、お金を借りることはできません。

 

銀行は、困っている人にお金を貸すボランティアではないですから。

 

「女王の教室」というドラマで、こんなセリフがありました。

 

「何かつらいことがあったときに、あなた達にできることなんか、せいぜい目を瞑ることぐらいじゃない?でも目を閉じても、問題は消えてなくならないわよ。目を開けたときに、事態はもっと悪くなっているだけ。」

 

社長も同じです。

 

何か問題が起きても、時間が解決してくれることなんてありません。

 

自分がわからないことを、誰かがやってくれることもありません。

 

社長になるというのは、そういうことです。

 

以前から私は、自分一人で何とかしなければ、誰も助けてなんてくれない、そういう立場で仕事をすることばかりでした。

 

会長秘書だった頃も、その前職でもそうでした。

 

いじめられていたときも、朝まで仕事をしていたときも、泣きながら土下座をしたときも、誰も助けてなんてくれません。

 

頼れるのは自分だけです。

 

私がこの三年間で気付いたことは、社長になりたい人が社長になるのではなく、社長になれる人が社長になるんだということです。

 

帝国データバンクのデータによると、30代の社長は全体の3%、20代は0.2%だけです。

 

SNSを見れば、フェラーリに乗った若い社長がたくさんいるように思ってしまい、自分もそうなれると憧れるのかもしれませんが、昨日まで普通の生活をしていた人が起業したところで、そんな生活は手に入りません。

 

彼らは学力、容姿、才能などの優れた要素を持っていて、その業界で必要な知識と経験があり、多くの成功要因があって成功しているわけです。

 

残念ながら、みんなが憧れるような生活が、今からの努力で手に入るほど、人生はイージーモードには設定されていません。

 

一発逆転みたいなことは起こらないので、そんなことを夢見る時間があれば、もっとやるべきことはいくらでもあるはずです。

 

私の会社は、ベンチャーバンクグループの本社オフィスを本社所在地としていますが、そこに私の席はありません。

 

グループ他社の社員なら、新入社員でもあたりまえに自分の席がありますが、私は家賃がもったいないので、今でも本社オフィスの共有スペースで仕事をしています。

 

本社オフィスが収益に影響する会社であればいいかもしれませんが、店舗ビジネスをしている以上、本社オフィスにお金をかけるくらいなら、店舗設備や給与に充てるべきだと思います。

 

威容を示すための、立派な本社オフィスなんて必要ありません。

 

会社に利益を残すため、少ない本社社員で会社を経営し、自分でマーケティングを行い、店舗のレイアウトを作り、備品を運び、財務、会計、年末調整など、本格的に勉強しないと出来ないことも、私は自分でやっています。

 

人と時間に余裕があれば、さほど必要のない仕事でも、さも大事なことのように考え、人は自分で自分の仕事を増やします。

 

だから、何も考えずに本社社員を増やしても、仕事が人数分に増えて、会社の利益を減らすだけです。

 

社長はいつだって利益を残すことを考えなければ、会社を存続させることなんてできません。

 

起業するにもお金が必要ですので、稼ぐ能力がなければ、そもそも社長になることすらできないのですが、もし起業できたとしても、事業が成功しなければそのお金はすぐになくなります。

 

覚悟があるなんて言うのは簡単ですが、覚悟があってもお金がなければ、会社や従業員を守ることなんてできません。

 

それが現実です。

 

夢も希望もない話ですが、それが理解できなければ、社長になんてなるべきではありません。

 

URBAN CLASSIC PILATES は来期から、福岡、名古屋、札幌、仙台などの国内主要都市にも出店をし、本格的な全国展開を始めていきます。

 

 

2月には、マシンピラティスパーソナルジムの「BREST」がオープンし、会社としては複数の事業を走らせることになります。

 

新しい事業ですので、成功する保証はありませんが、勝ち続けなければその先はありません。

 

新しい事業が投資になるのか、会社の利益を減らす負債になるのか、そんなことを考えれば、三周年くらいで嬉しい気持ちになんてなりません。

 

社長というのは常に、そういう不安と隣り合わせで生きているのです。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 


2023年12月11日
株式会社Venture Bank Next
代表取締役社長 土谷泰平

筆者プロフィール
URBAN CLASSIC PILATES を運営する、株式会社Venture Bank Nextの代表取締役社長。ホットヨガスタジオLAVA、FEEL CYCLEを運営するベンチャーバンクグループの元会長秘書。