絵に描いても描ききれない美しさは、そのまま残すことが難しい。故郷に近づくにつれて雪の量は増し、私のバイクの音など問題にならない程の爆音で一般用の除雪機が道路脇の雪を飛ばしている。朝の五時半なのだ、誰もが当たり前のように、嫌な顔もせず、黙々と、家の人達や車が普通に活動出来るようにやれる人がやる作業なのだ。寒さは写真撮影をも拒む、マイナス9度、今夜はマイナス10度は下回るだろう。空は晴れ上がって星の数はフラネタリウムの十倍は見える。ここで星を見る事も大自然は拒んでいるようだ。ただ、ここで暮らす人達を少し見ていると、どこか誇らしげで、訪れる人達や通学の子供達の足元に危険がないように見てくれている。全員が母親のように優しく、父親のように強い。そう言えば若い頃、フィンランドのイバスキラと言う街からロシアの国境線まで、車で往復1000キロを走ってシャガールの家を訪ねた時の雰囲気がよみがえった。自分たちの住んでいる地域の伝統を守り、多からずセールスポイントを理解して、観光で訪れる私たちへのおもてなしの心を忘れない。言葉は通じなくても自然体で迎えてくれる彼らに、旅の疲れも
異国を旅する不安も和らげてもらえた思い出が今も心に残る。何故そこを訪ねたのかなどはどうでも良くなったんだなあ、今更ながらに近くて遠い故郷にもう一度景色を思い出しに行ってはどうでしょう。何も変わっていないことにホットするでしょう。




