覚え書き

日が暮れた夜のできごと。

私と夫は駅近くのスーパーで買い物をして、帰路を急いでいました。

信号待ちで ベビーカーを押したご夫婦が となりに並びましたが

私も夫も 赤ちゃんが大好き。
ベビーカーの中の赤ちゃんが見たくて 
のぞいたら

赤ちゃんは ある方向に意識を向けていました。

赤ちゃんの視線を追ってみると
暗かったので 最初は気づかなかったのですが

ななめ前に 自転車にたくさんの荷物を乗せた 浮浪者らしい方が こちらの方を向いています。

ちょっとビックリしました。
けっこう年季の入った浮浪者の方だなぁと感じました。

ところが
その方はベビーカーの赤ちゃんに
めちゃくちゃステキな笑みを向けて

いないないばぁーや 変な顔をして
あやしていて

赤ちゃんもですが
そばにいた若いパパママも 
ニコニコされていました。

とっさに「赤ちゃん かわいいですよね」と声をかけようとしたら

青信号になって
さっと自転車で去っていきました。

私などには分かるはずもないですが

きっと赤ちゃんがいた生活を されたことがあったんだろうなぁと 思います。

赤ちゃんを見て「かわいいなぁ」と感じる感情は、子供を育てた記憶が あるからなんじゃないかと。

夫がまさにそうなので、勝手にそんなことを推測しました。

そしてそれはきっと
すてきな経験だったのでしょうね。

私も赤ちゃんもご夫婦も、そして
自転車で去っていった彼も ちょっとの間、温かい時間を過ごし

そのあともじんわりと
幸せな気分にひたりながら 帰りました。

良い夜でした。


おわり。