EQWELチャイルドアカデミーの浦谷です。

 

大自然の営みは知れば知るほど奥深く、人知を超えた働きがあることが感じられますが、中でも生命の誕生は神秘的です。

受精後、胎児期を経て3000g前後の赤ちゃんへと成長し、出生(誕生)直後は目もさほど見えず、寝たきりだった状態から、わずか1年で立って歩き、手先を使えるようになり、言葉を話しはじめる…。

 

この受胎後の2~3年間は人間としての特徴を獲得する、人生でまたとない急成長の期間です。

それだけに、この時期の環境設定や親の働きかけは、その後の成長の方向性に大きな影響を与える、最もテコの原理がかかる期間なのです。

 

それだけに、このマイナス1~1歳の3年間は、天才脳のベースをつくるためにも、最も大切な期間であるといえます。

 

  赤ちゃんの成長は胎児期から始まっている

 

第二次世界大戦中、オランダの「飢餓の冬」の期間に胎児だった子どもたちを対象とした追跡調査があります。

1944年、記録的な寒さに見舞われるなか、敗戦濃厚になったドイツ軍がオランダへの食糧輸送を封鎖しました。

その上、連合軍の猛攻を受けてドイツ軍が退却すると、輸送インフラや農地を使えずに、オランダは深刻な食糧不足に見舞われました。場所によっては、妊婦が一日に必要な栄養摂取カロリーの4分の1しか食べられなかったといいます。

その時期に胎児であった子どもたちを追跡調査したところ、子どもたちは成人後、肥満や心疾患、糖尿病、精神疾患になる確率が高かったのです[1]。

 

このように、胎児期に不適切な環境の中で育つと、その影響が生後の長きにわたりさまざまな形で現れてきます。

これは裏を返せば、胎児期から適切な環境を提供すれば、生涯にわたってより良い健康状態が維持しやすいということでもあります。

 

胎児は12週頃から触覚、20週頃から視覚、24週頃から聴覚、28週頃から嗅覚、そして35週頃から味覚が働きはじめます[2]。

また、その頃には聴覚機能が完成し、お母さんの声を判別でき、胎外のテレビの音や音楽も聞こえているとのこと。

さらに、胎児はお母さんの声を好み、母語の特徴を学習し、記憶している可能性が高いという研究結果もあります[3]。

 

そうであれば、胎児にとってよい胎内環境を整えて、胎児に語りかけたり、音楽を聞かせたりすれば、胎児期からさまざまなことを吸収し、学習するのではないかと考えられます。

この考えが胎教のはじまりともいわれ、古来よりさまざまな方法が説かれています。

 

次回は偉人や金メダリストを育んだ「胎教」のポイントについて見ていきましょう。

 

浦谷 裕樹 拝

 

 

[1] 「ヒトの一生涯を通した健康維持戦略 -特に胎児期~小児期における先制医療の重要性-」 国立研究開発法人 科学技術振興機構 研究開発戦略センター
https://www.jst.go.jp/crds/report/CRDS-FY2014-SP-03.html

[2] 『赤ちゃん学で理解する乳児の発達と保育 第2巻 運動・遊び・音楽』 小西行郎、小西薫、志村洋子

[3] 『まねが育むヒトの心』 明和政子

 

 

 

 

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