EQWELチャイルドアカデミーの浦谷裕樹です。
2020年も年末ムードに入ってきましたが、
今年は例年とは異なった年末年始となりそうで。
帰省もしにくい世情で、家族といえどオンライン
による年始の挨拶に?
今年を機に、人間関係のあり方が今後とも
大きく変わっていきそうな予感がしています。
そんな激動の2020年でしたが、この一年の間に
子育て系で印象に残った本を1冊紹介します。
タイトルは、
『1日5分で親子関係が変わる! 育児が楽になる! PCITから学ぶ子育て 』
です。
虐待やうつ病、発達障がいなどが原因で、親子関係が行き詰まっている…
そこまでは行かなくても、日々の仕事や生活に追われ、ついつい子どもに怒ってばかり…
どうしたら子どもと良い関係でいられるのかがわからない…
そんな親向けに、1日5分でできる親子関係の改善法を紹介した本です。
PCIT (Parent-Child Interaction Therapy) は
「親子相互交流療法」と呼ばれていて、2~7歳を対象とした
遊戯療法(プレイセラピー)と行動療法に基づいた心理療法です。
(やり方によっては1歳~最長12歳まで効果があります)
心理療法というと治療なので、通常は問題行動が激しい子どもと
そのことで苦しんでいる親が対象となるものですが、
このPCITは、普通の親子の子育て全般にも役立つものとなっています。
今年オンライン開催された「日本赤ちゃん学会」やTV番組で知りましたが、
コロナ禍においてもPCITのオンラインセッションは他の親子療法に比べ
効果が高かったという点で注目されていました。
確かに一般的な子育てでも役立ちそうなので、以下にポイントを紹介します。
■■■ PCITのポイント1 ~親子の関係づくり~ ■■■
まずは、親子の良い関係づくりをするCDI(子ども指向相互交流)を行います。
CDIでは、子どもファーストで一緒に遊びながら、子育てスキルを学びます。
具体的には1日5分の「特別な時間」の中で、子どもが遊んでいるときに親が傍に付き添い、
この5分の間だけは、以下の方法で関わり合います。
兄弟姉妹がいても、一人ずつ別々にこの時間を設けるようにします。
一人ひとりをしっかりと見守り、関わる時間を取ることが大切なのです。
【CDI : 1日5分、「特別な時間」のルール】
CDI中に、してはいけないことは「命令 ・ 質問 ・ 批判」です。
これらは“Don’t skill”と呼ばれています。
一方、した方がいいことは、以下の5つで“Do skill”と呼ばれています。
・ 具体的なほめ
「すごいね!」だけでなく、「積み木を5つ縦に重ねて、すごいね!」と具体的にほめる
・ (言葉の)繰り返し
子どもが「うさちゃんが跳ねてるの」と言ったら、「うさちゃんが跳ねてるのね」と繰り返す
・ まね
子どもが両手を上げたら、親も両手を上げる
・ (行動の)説明
「今、○○ちゃんはぬいぐるみと一緒に踊っています」と、子どもがしていることを説明する
・ 楽しく
以上のスキルを楽しく行う
1日5分間だけでいいので、上記の接し方を続けると、子どもはこの特別な時間の間は
「親が自分を完全に受け入れてくれる」と安心して、心を開くようになります。
この安心感が親子関係を改善し、よりよいものへと変えていくのです。
■■■ PCITのポイント2 ~効果的な命令の出し方~ ■■■
CDIでは命令や禁止・質問はしないように、とされていますが、
日常生活でそれらをしてはいけないわけではありません。
命令や禁止・質問をまったくしなかったら、
日常生活が立ち行かなくなるかもしれませんよね。
CDIではあくまでもよい親子関係を築くために1日5分
そういった時間を設けているわけです。
ですが、命令の出し方にもポイントがあります。
親子関係をよくした上で、効果的な命令ができると、
今まで言うことを聞かなかった子でも、スッと命令に従うようになります。
この命令のポイントを学ぶのはPDI(親指向相互交流)と呼ばれていて、
CDIを十分に繰り返し、よい親子関係が築けてきたら、
特別な時間の中で以下のルールを守りながら命令を出します。
【PDI : 命令の出し方の8つのルール】
※ 絶対聞いてほしい命令のときに使います
1.直接的に命令形で
提案・質問ではなく、「~してください」
2.肯定的な言葉で
「~してはダメ」ではなく、してほしいことを伝える
3.1回に1つ
複数同時ではなく、1つずつ命令を出し、できたら次に
4.具体的に
×「お行儀よくして」 ○「椅子に座ってください」
5.発達年齢を考えて
子どもが理解できて、無理なく実行できる内容を
6.ふつうの声で
強すぎず弱すぎず、礼儀正しくふつうの声で
7.前後に説明
気持ちを切り替えやすくなり、理解が進む
8.必要なときだけに
重要なときだけ命令形、他は「一緒に~しよう」
「~してくれたら、うれしいな」などでOK
そして、命令を聞いてくれたときには必ず
「すぐに言うことを聞いてくれて、ありがとう」
と、具体的にほめることがポイントです。
細かい点での注意点などもありますので、
詳細について知りたい人は本をご参照ください。
PCITを参考にしたもっとライトな日常での子どもとの接し方のコツを
お伝えしている「CARE」も参考になると思います。
来年(2021年)の2月末には、PCITを含め、数々の子育て法のポイントを網羅した
55のメソッドを紹介する新刊を出版する予定です。
出版の詳細が決まりましたら、また報告いたします。
それでは、こういった子育て法のポイントをいい形で織り交ぜながら、
皆様の来年の子育てがますますより良いものになりますように!!(浦谷 裕樹)