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Savage Salvage (AKA UЯASHIMAru)

砂漠 音楽 秘密(笑)の趣味 
Desert Life, Classical Music, Traditional Play, Motor Cycling and a bit of Model Railroading.

若い齊藤一郎が音楽監督に就任して2シーズン目に突入!といいつつ1シーズンに一回づつしか今のところ参戦してない余り熱心とはいえないオレの耳。
ただ昨年に引き続き意欲的、とくに邦人中心に積極的に現代音楽をとりあげる彼の姿勢には強い興味と共感を覚える。去年なんかコンチェルト会員になっちゃおうかと思ったほど(いや結局イヌを飼いはじめたんでなってなくてよかったけど・・・ほ。)

その意欲的で魅力的なプログラムそれにつられてつい来てしまった。お留守番のイヌくんすまぬ!

題して「言霊に音霊会ひし桜かな」馬場俊吉ということらしい。その歌人馬場氏および彼の歌に曲をつけた高橋悠治さんさらに今日のもう一曲をこの日のために編曲しなおした水野修孝氏が、監督齊藤君とともにステージに上がりプレトークに花が咲く。春やから。
なんかサンディエゴやバークレーあたりで時々開かれる、大学ホールでの室内コンサート或いは自主映画上映会みたいなノリ。懐かしい。

しかしその誰のでもない黛敏郎の初期の作品で幕開け。番付には「フランス六人組やガーシュウィン、ジャズなどが絶妙にミックスされ・・・おもちゃ箱をひっくり返したような」云々と西耕一が書いているが、後の安倍公房や三島由紀夫あるいは岡本太郎や映画、歌謡界との濃ゆい交流と、件の地おフランスでも同じ頃ジョルジュ・ドルリューやミシェル・ルグランみたいな人たちがゴダールやトリュフォーはてはロラン・バルドからコルトレーンやジョニー・マティスにまで繋がる人脈の広がりにまで思いが膨らみワクテカしてしまうではないか。しかも黛はドイツでもイタリアでもなくフランスに「音楽」留学し、ルグランは後に映画版ベルばらの音楽まで書いてしまうインタラクティブ!
20世紀後半のそういうワクワクする時代を、この黛というひとはたしかに引き寄せた張本人の一人としてこれから長く記憶されるべき、そしてその記念すべきフランスかぶれの一曲がこの10楽器のためのディヴェルティメント。

つづく水野修孝のビオラ協奏曲は、彼の最近作かつ改訂版として初演ということやけど、これはなんというか、シェーンベルクの浄夜が持つような美とバルトークの弦楽四重奏的な強いリズムをあわせもったような、ある意味今の時代の王道を往くような心地よい曲。一方で700人もを要する巨大な交響曲を書く人の最晩年(すんませんご本人ご臨終もといご臨席なのにw)はこんなにも清清しいのか・・・と一寸思ってしまった。

これで終わらずさらに前半もう一曲はアイスラー。こちらは勿論鬼籍入りしてはりますが、この世界最終戦争幕開けを記念するかのような一曲はその黎明期のシンセサイザー、ノバコードをフィーチャーするために書かれたもの。ノバコードは1937年に発売されたが、オレのブログで時折特集するレイモンド・ローウィーらの手になる流線型の機関車群もまたその同じ頃に登場したコトを思えば、なんとなくその時代精神やパラダイムが浮かび上がってくるではないか。つまり今オレ達が感じるよりもづっとづっとモダンで、それどころかもしかすると今よりもっと未来志向の強度は高かった。つまり我々は今、ココで足踏みどころか退行し始めているのかも知れない。ちなみに日本にこの画期的なポリフォニーを奏でるノバコードは現存せず、かわりにもっとプリミティブなムーグに細工をして同等の機能と音を再現できるようにしたモノで代用。そのボーズのスピーカがオレの目の前にあって、猶更オレを尋常ならざる精神世界への旅(トリップ)に誘うのであった。なんとも言えない不気味で且つ抗し難い世界へ。

休憩中、精神世界の余韻に腰が抜けたようにその場にしゃがみ尽くすオレの目の前に、毒草ニガヨモギの淡い緑のグラデーションに染まったお着物が架けられた。容赦ない現実への目の鞭なのかソレは。

医者で詩人で学者の馬場俊吉という人の俳句連句を高橋悠治が曲で繋ぎ、能楽師シテ方片山九郎左衛門がその句を抑揚たっぷりに詠む。その、能装束というか神官の装束がまた、昨夜に続きオリエンタリズムをそこはかと醸す。この和と洋の融合というものを、もう少しワザトラシサ感のないように出来ないものかという疑問が今夜も沸くのであった。目を瞑って音だけで楽しめば、このままでもっと素直に聴けるんやけど。
「演奏者の自主性も重んじた独自な発想」というのは勿論お能の囃し手や声明なんかの、あのちょっとしたいい加減さからインスパイヤされてのことと思うが、音程のきっちりしている西洋音階の範疇で、あのホルンの音や何かは、ホンマにそれでええの?合うてるん?齊藤はちょっと何箇所かでニガヨモギならぬニガムシ噛み潰したような顔になったところがあったが・・・。

詰め込まれたプログラムやったけど、だいたいちょうど2時間で終わったやん。たいしたモノですさあイヌの許へといざ帰りなん。ソノ前にちょっとなか卯よって帰るけどw

4/11(土)
京フィル第198回定期
@アンサンブルホール・ムラタ
齊藤一郎/京都フィルハーモニー室内合奏団/松田美奈子(vla)/片山九郎右衛門(詠み人)
(曲目)
黛:10楽器のためのディヴェルティメント
水野:ビオラ協奏曲(2014改訂版)
アイスラー:室内交響曲Op.69
(休憩)
高橋:苦艾