[歌劇]ランスへの旅[Zedda] | Savage Salvage (AKA UЯASHIMAru)

Savage Salvage (AKA UЯASHIMAru)

砂漠 音楽 秘密(笑)の趣味 
Desert Life, Classical Music, Traditional Play, Motor Cycling and a bit of Model Railroading.

この日は朝から出先で見たくもないのについ目にした朝日新聞の第一面に目を疑い、気分も下がる。いわく、老老介護の実態とその未婚の中年息子のネグレクト・・・。親が子をネグレクトならわかるが、今時は子が親を、しかもとっくに別居していたけれど介護のために戻った子供が24時間かかりっきりで介護をしていないとそれはもうネグレクトやと言わんばかりの一方的な記事の書き方もさる事ながら、そもそも介護の現場の、それもたった一例をもって大新聞の一面トップにまるでスクープのように取り上げる、その製作側の意識の堕落に心の底から、新聞はもうダメだと、吐き気がした。

そんな、週末朝からの最悪のスタート。なんか気分転換せな。



一昨年についに倒れ、なぜかそれでも昨年には復活したアルベルト・ゼッダをこの機会に見ておかなければきっと大阪はこれで最後やで、見とかんと後で後悔するでえーというミーハーなだけの天の声に唆され、当日になってもまだ予約できるフェスティバルホールのオンライン・チケットで大枚はたいてA席(このオレがA席ですよ!これ以上はS席しかないんですよ!)を予約して、そのまますぐに電車に飛び乗る。去年の今頃もそんなこと言うてびわ湖ホールに小澤征爾を見に行ったが、彼はなぜかまだ生きておる。。。

カレッジ・オペラ楽団はこれを5年前にもいずみホールで演奏会形式でやっておるし、「宿の女将」石橋栄美もその時と同じキャスト。その他も共同制作の藤原歌劇団の近畿圏(ちゅうか大阪音大)関係者を中心にキャスティング。つまりオケも国内組の歌手も「ランス」には精通した面々。それにプラス大阪国際フェスティバル開幕公演ちゅうことで諸外国より技巧派の若手を集めた混成チームが加わり、なによりロッシーニの生き字引ゼッダがまとめるということで、ある意味新鮮味はないけれど決定版的なプログラムには違いない。

とはいえ一方では「新演出」と銘打ってあるので、なにかトンでもない面白い仕掛けでもあるのかとちょっと期待もしてみる。しかし松竹歌劇団がレビュウを踊るとか、後半の歌合戦で君が代が流れるとか、そういうことは一切なく、唯一ジブラッゼが蝶々夫人かよというジャポネスク風ドレスを纏っていた以外、わりと地味目なセットやオーソドックスな照明は、教科書どおりといった感じ。いまさら「散逸したスコアを集めて復活」とか言う時期はとっくに過ぎてるんで、それ以外の何かがないと、むしろ本来の祝典カンタータの雰囲気すら損なわれてただの平板な歌謡ショーへと埋もれてしまう。

勿論、特に後半集中して登場する、ゼッダがオーディションして集めたヨーロッパの歌手は声量も声質もまったく違うことをこの本来グランド・オペラにすら昇華できる演目の「歌」の部分では再確認。むしろ目を瞑れば華やかな戴冠式の上気したパリの上流階級がオレを取り囲むではないか。そうなるとやっぱり何か、歌唱力以外のちょっとした細やかさや演出で、日本ならではといえる何かを作っていかないと、これから京都にも歌劇場が出来れば京阪神だけでも3つのオペラハウスで本公演を仕掛けていかなければいけないのに厳しいですよ。ただの歌合戦じゃなくて「舞台」芸術なのですから。

ちなみにフェスティバルホールは朝日新聞本社ビルの中にあるなと思いながら、京阪電車の車窓に霞む大阪の町を後にした・・・ニダ。

4/18(土)
大阪国際フェスティバル・オープニング
歌劇「ランスへの旅」
台本:ルイージ・バローキ/曲:ジョアキーノ・ロッシーニ
@フェスティバルホール
指揮:アルベルト・ゼッダ
演奏:ザ・カレッジオペラハウス管弦楽団
演出:松本重孝
出演:老田裕子/ターチャ・ジブラッゼ/イザベラ・ガウディ/石橋栄美/中川正崇/アントン・ロシッキー/クラウディオ・レヴァンティーノほか