そんなアドリブも出る余裕を見せて今回の文楽定期公演は幕となった。
なんやしらん急に人気出てもしかしたら開演間際とかに行ったら幕見のチケットも無いんちゃうかという強迫観念に駆られて前日に電話しといてよかった。ほんまに大入り満員コやん。しかし2時を過ぎたらキャンセル扱いにしますとか釘さされて(2時どころか開演にも間に合うか微妙やったし)ちょっと早め昼過ぎに一度窓口でチケット発見してから落ち着いていずみホールに戻る。思いのほかグレイトなグレイトのせいでカーテンコール最後まできっちりお付き合いして拍手してから小走りに地下鉄長堀鶴見緑地線大阪ビジネスパーク駅に向かう。ちゅうか最近はどーにもならんのかどれもこれも長たらしい舌噛みそうな名前ばっかしつけよって。
ま、ひごろの行いの差というか、エスカレータで地下深く駅のプラットフォームに着くとちょうど電車も滑り込んできて、長堀橋駅での乗り換えもまた同じパターン、おかげさまでちょうど呼び出し三吉が袖へと消えてゆくと時を同じくしてオレも劇場内へと潜り込めた。今日はいろいろうまいこといった♪
実はよく調べてなかったんで後半どこから始まるのかすら知らんかったがこれまたちょーどうまいところ、一番興味深い(笑)祇園一力茶屋の段そして八段目富士の高嶺や琵琶湖の広大な背景を前に道行旅路の嫁入りの段を挟み由良助(蔵之助)そして山科閑居の段へと続くとは気に入った!単に歴史の舞台として地理的に馴染み深いというだけでなく、なんやこの忠臣蔵の季節になるたびに、別に誰に何の恨みがあるわけもなしに、それでも意味深ぶった恨みを隠した酒の酔いに身を任せたくなる、まさにそのコースこそ嘗て実在の大石蔵之助が通った道と重なるからである。
まあこれを普段は南座のお芝居で見るからこその尚のことに身近な思いが募るわけやが、ちょっと距離置いて大阪ミナミでその気分の再現を味わうのも悪く無い。しかも生身でないのに艶かしいお人形さんの表情に於いて。
山科閑居の段の前半、歌舞伎では殆ど見ることの出来ない雪こかしの段のその文楽ならではの表現を見れた感動もさることながら、この長い長い段が幕となった後に用意されるのが討ち入りを成功させ、清清しいまでの雪の朝を引き上げゆく浪士達の人形がこの上なく引き立つ花水橋引揚の段という今回の演出。この心憎いまでの省略の美学こそ、どこぞの育ちの悪いハシノシタ御大尽にもう一度ご覧になって頂きたいものやけど、もうこの日で大入り満員の千秋楽でございました。くわばらくわばらあなかしこ。

