[歌舞伎]古典への誘い[海老蔵] | Savage Salvage (AKA UЯASHIMAru)

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番付に「その昔、公家、武家向けの芸能として発展してきた能と、江戸時代に大衆芸能として根付いた歌舞伎とは交流の機会が少なく、二つの芸能が同じ舞台で同時に上演されることはまずありませんでした」とあるように、お能と歌舞伎ほどその対象とする視線の違いをそれぞれの演出に際立たせたものは無いかも知れない。さらに海老蔵がオープニング・トークで触れたように、歌舞伎はその題材の多くをお能(やその狂言)からの引用に求める一方その逆というのはまず聞いたことがない。その素材をどうアレンジするか、そのエッセンスを用いてより庶民的なわかりやすい演出にするのか、あるいは場合によっては批判的、戯画化するのか、それはその時々の演出家の手腕や聴衆のニーズに拠るものとして、しかしそこには時代という篩いにかけられその荒波に揉まれ生き延びた「古典」という厳とした先人の遺産としての力がある。

海老蔵がこの先ほんとうに人間国宝に相応しい芸を見せるのか、その名を汚さない道をゆくのかは判らないし、正直そんなことはどうでも良いが、少なくともこの、歌舞伎にとって能楽からの引用のうちでも最も重要と思われる「連獅子」を、能「石橋」の対応する部分と引き続きに見てみよう、という企画は現代に於いて当を得たものと言える。
一方でこの企画に異を唱えることなく賛同し力を貸した金剛流、観世流はじめ各流派が交互に前半「石橋」部をつとめることも密かに画期的ではないか。賛否はあるかもしれないがそれを可能にした海老蔵の力も侮ってはいけない。

しかしそもそも何でこのような企画物をのこのこと台風の中見に行くことにしたかといえばこれを逃すと次は顔見世まで歌舞伎が見れないからということもさりながら、実はオレも以前から石橋と連獅子を続けて見てみたい、そう思っていたから。だいたい皆考えることは同じであるとよく判った次第(もちろんこれをもって共同幻想の傍証である等言われる筋合いは無い。)

荒天にもかかわらず、しかも南座はこれで千穐楽やけどこれが事実上の出発式のような地方巡業企画にかかわらず、結構なお客の入りそしていつもにまして(一般の)掛け声も多かった。これも海老蔵人気というものなのか。そして当地でいよいよ盛り上がってきた壱太郎人気も負けてません。

帰り際、ロビーで海老蔵の奥様がご贔屓相手に笑顔を振りまき、祇園の(元)綺麗どころがまあお綺麗やわ~と(現役)綺麗どころに嫉妬を込めた声をかけていた。どの世界もこうゆうの大変やねえ。オレもじろじろ見てたわけやがw

9/30(日・千穐楽)
「古典への誘い」
【出演】
市川海老蔵/中村壱太郎/金剛永謹/金剛龍謹ほか
【番組/曲目】
オープニングトーク(海老蔵ほか)
半能「石橋」
(休憩)
舞踊「連獅子」
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