中村勘九郎襲名披露公演として新橋演舞場、平成中村座に続き上方でのお披露目公演となった当公演、七之助や壱太郎ら当代を引っ張る若い女形に加え、創作時代劇の傑作にしてあの加藤泰監督の超スーパー傑作映画としても高名な「瞼の母」には坂東玉三郎も登場と豪華版。そしてさすが襲名披露公演、緊張感のなかにも千穐楽間近の余裕すら感じられた。
昼の部は今や何かと話題の文楽からの移植作で明和8年正月竹本座で封切られ同年8月にはやくも歌舞伎となった時代物「妹背山婦女庭訓」の中から四段目三笠山御殿の場。黒子が苧環(おだまき)を帯に刺すのに手間取っていたのはまあ愛嬌として、七之助、壱太郎の女形コンビと終盤を〆る中村橋之助がこの後休憩を挟んで登場してくる勘九郎襲名口上へのこの上ない前座ぶり。
つづく俄獅子で扇雀、橋之助の成駒屋コンビが客席からの掛け声を受けて素人獅子舞を気持ちよく踊ると愈々六代目勘九郎の登場。口上は夜の部だがこの舞踊「団子売」で弟七之助の助けも借りて途中に襲名口上を述べる。そのアドリブというかカデンツァというか、近頃の江戸前歌舞伎は大抵ココで襤褸を出すんやけど、この二人は兄弟に有り勝ちな不協和音を連想させる事もなく、むしろとても粋に掛け合っていたのが印象的。
そしてお昼の部のおおとり瞼の母は、現代作家ものに付き物のワザとらしさ、新劇臭が無く、逆説的にあの加藤泰の長回しを思わせる一発勝負の緊張感漲る各場面に天井桟敷のオレはじめ全ての観客の目を釘付け・・・と思ったら2つ向こうの爺、いびきかくのやめい!
ここはしかし仕方が無いとはいえあの壱太郎もそして六代目も、
9/20(木)
九月大歌舞伎
六代目勘九郎襲名披露(9/1~25)
@道頓堀松竹座
(お昼の部)
【演目】
「妹背山婦女庭訓」より三笠山御殿
(休憩30分)
「俄獅子」
「団子売」
(休憩25分)
「瞼の母」
【出演】
坂東玉三郎/中村翫雀/中村扇雀/中村七之助/中村壱太郎/中村勘九郎ほか



