【大阪クラシック】大阪の音楽の歴史を少し紐解く【第65公演】 | Savage Salvage (AKA UЯASHIMAru)

Savage Salvage (AKA UЯASHIMAru)

砂漠 音楽 秘密(笑)の趣味 
Desert Life, Classical Music, Traditional Play, Motor Cycling and a bit of Model Railroading.

日本初の音楽専用ホールにして、その後東京をはじめ全国に類似ホール建設の一大ブームを巻き起こしたここザ・シンフォニーホールは開館以来今年で30周年、大植さんが繰り返し仰る「大阪でマエストロといえば朝比奈さん以外にその敬称を用いるな」という、その朝比奈翁の後半生総仕上げとでもいうべき殿堂もはや30年、されど30年。まだこの種の施設が本邦に紹介されて30年しか経ってない。悠久の音楽史の中ではほんの一こまといって良い時間ではないか。
しかしその僅か30年にして、ホールのオーナーであった朝日放送(ABC)はこれを、あまり知られていない滋慶学園グループという学校法人主体の運営会社に売り飛ばすことになった事を、実はオレは今日まで知らんかった。迂闊。こんなにヒトが入って、こんなに催しも詰め込んでてそれでも赤字(主催公演のみでは黒字らしい)であったことは知ってたし、ホールの命名権を売るという話なら知っていたが、ホールごと売却とは知らなんだ。しかも今月末にも経営権が変わるとは。

ABCの箱であることはその立地から推察するまでもなく大阪市民いや近畿一円の音楽ファンなら知らぬ者はおらんし、当時の社長とマエストロの密なやり取りによってこれが実現した事も、なにかにつけ民間主導をよしとする大阪ならではやなあと、むしろ民間のカネですらいちどお役所に入れて公共事業としなければ話が進まない隣町、お公家(官吏)様の街から見ればちょっと羨ましくすらあった。

そのABCがクラシック音楽と具体的な関わりをもったのはこの時が初めてではなく、実は1956年に近衛秀麿の私設オケ、近衛管弦楽団を母体とするABC交響楽団というものを設置したことがある。56年とは奇しくも大植氏ご誕生の年でもある。(だからこの事は絶対忘れないとはご本人談)
近衛子爵はその指揮者としての経験、終生自費を擲っての楽団育生・維持といった貢献とは裏腹にメインストリームでの名声となると朧気な存在であり、財界政界問わず立ち回りが巧く今だにその名を多くの市民に愛される朝比奈翁とは対照的であるが、しかしもしこの近衛子爵のABC楽団が大阪で大フィルと並ぶ存在として生き残っていたならという妄想は今でも十分過ぎるほど魅力的である。

ABC響は結局華々しい海外公演でのゴタゴタが元で61年ごろには早くも解散、そして今、このザ・シンフォニーホールもその(ABCとしての)命運が尽きようとしている。

ベルリオーズの「ローマの謝肉祭」とムソルグスキー/ラベル「展覧会の絵」という脈絡の余り無い選曲とは一体何かと思えば(しかし大植さんが選ぶ以上かなり深い意味なしにマッチングされる事はないのは当然であるが、)ローマの謝肉祭は近衛子爵がABC響としての初めての演奏会で演奏曲、そして展覧会の絵はここザ・シンフォニー杮落としで大フィルが演った曲ということで大いに納得。ちなみに杮落とし第1曲目は本第7回大阪クラシック開会公演の1曲目でもある「ニュルンベルクのマイスタージンガー」序曲。
これはもう間違いなく大植さんも覚悟を決めたと言って良いと思う。この夜もまた言葉の端々に、ホールのこれまでの運営へのノスタルジー、この大阪クラシックそのものの運営に昨年までには無い困難があることを隠喩した涙が何度も見られたし、またご本人自身も「世界が」舞台であると何度も公言される等、今までにない大植さんの姿がそこにはあった。

大フィルもまた「音楽監督」としての大植さんを欠き、しかしその「名誉」桂冠指揮者としての大植さんに結局今も下駄を預けざるを得ないなか、50年余り前のABC響と同じ運命を辿る瀬戸際にある。そんな修羅場を見捨てて長原始め何人かの主力が抜けたわけやけど、むしろ全体でのバランスが良くなって最近になく風通しの良い、そして大植エイジエクスプレスの名に相応しい音が響き出し始めた。なんとも皮肉なもん。
それこそ前夜の第5交響曲ではないが、大フィルそしてこのホールの次のフェルマータは、一体どんな意味になっているんやろう。大植さんに乗せられて総立ちブラボーのフィナーレに涙しながらもどこか素直に盛り上がれないのは、なにもオレだけやないとわかってはいるが。

9/6(木)
大阪クラシック第65公演
@ザ・シンフォニーホール
大植英次/大阪フィルハーモニー交響楽団
【曲目】
大植英次による解説
ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」op.9
ムソルグスキー/ラヴェル:組曲「展覧会の絵」
(アンコール)
エルガー:「威風堂々」第1番
大植英次による握手、ハイタッチ会


Savage Salvage (AKAうラしまru)


Savage Salvage (AKAうラしまru)
9月5日ピアノスペクタキュラーの隠し撮りw