風は南から

10年ほど前の携帯メアドが
まだ使われているだろうか…。

４年前にメールが届いたけれど
きっとスマホに変わっているだろう…。

思案したあげく
電話をかけてみることにした。

「ノブちゃん？」
「おぉ～◯◯～～～」
ノブちゃんは絶叫した。

ノブちゃんは
10年前の私の声と別人のようだと
何度も繰り返した。

(=∩ω∩=ゞｴﾍﾍ～
と、笑ってみた。

長渕剛さんの楽曲が気になって
頭から離れなかった。

中学生のときに
カセットテープに録音してくれた
ＬＰレコードのタイトルを知りたかった。

「あれは、３枚のＬＰを録音したんだ…」
ノブちゃんは、はっきりと記憶していた。

ＬＰレコードのタイトルを
スラスラと教えてくれるノブちゃん。
どうもありがとう。
と言って、電話を切ろうとした。
そこでストップがかかる。
「ちょっ！」

『ちょっと待って…』
の意。
自動ドアの開く音がして
車の走行音が聞こえた

「元気でいなよ！無理しないで、ゆっくり。
次の同窓会には来れるか？」

中学生のころと
変わらず優しい。
いろんなことがあったぶん
もっともっと優しい言葉だった。

「うん！どうもありがとう！」
元気なフリをして言った。
しかし、語尾は言葉が詰まった。
笑ってごまかした。

『風は南から』
『逆流』
『乾杯』
３タイトル。
「今はＣＤが出てないかもしれないから
◯Tunesでダウンロードしたほうが
早く聞けると思うよ」
ノブちゃんの提案どおりにしてみた。

なるほど…
数年前に買ったＣＤに収録されていない曲が見つかった。