しばらく意識をしない間に9月が訪れていた。
8月に行く約束だったライブは開催中止、どっちにしろ遊べなかったのだ。
お金が帰ってくるだけ良かった!と素直に喜べなくてイライラした。
金に変わるチケットをライターで燃やしたんだっけ。結局手元に見当たらなくて返金してない。
やっと、やっと会えたのに。いつもこうだ。
ギリギリの日付になってから実は…と相談がきて
なんで遊びの約束をOKしたのか分からんくらい自分都合な理由だった。
私はなんのポジションなんだろうな。
死なれたら後味悪いから面倒は見るけど、そういう恋人ごっこは決まって断られる。
なまじ金払いと休みが開けやすい仕事のせいで
構ってくれてるだけなんかな。
いつぞや温泉に誘われた時は、穴が空くほど肌を見られた。1人でしっぽり浸かりたいという私の希望を無視して、気付いたら同じ湯船に浸かっている。屋外の露天風呂で極めつけに、隣においでよを足のつかない場所まで手を引かれた。
好きな人の肌を直視出来なくて耐えてる私の気持ちなど知らないんだろうな。
結局相手の肌やシルエットは全く覚えていない。
同じ日だったかな。
同じ部屋で布団敷いて各々寝てて、不眠症が酷いから眠れなくて
背中越しに聞こえる寝息と時々する寝返りにかこつけて布団に潜り込んでやりたいとか。
汚い妄想しか生まれなくて、反省してリビングのソファを借りた。
こんなに近くにいるのに肌すら触れない。手も繋げない。他所の友達は私に当たり前のように腕を絡ませるし、冗談でキスをしたがる。
私はそういうのが凄く嫌いだった。
そんな私が初めて腕を絡めたい、せめて手を握りたいと思ったのが彼女だった。
街中で見せつけたいだとかそういうのじゃなく。
好きだと伝わればいいなという小さい願いだった。
だから、布団に潜り込むなんて順番が違う。
もっと慎重にならないと彼女は私を軽蔑する。
好いてもらえるまで、確信を得るまで。
我慢をする日々が続いだ。
あともう少し早く生まれていれば。
もっと近い街に生まれていれば。
それを易々と叶えている、Y。
一生関わりたくない。
出来るなら別れさせてやりたい。
神様、この2人が出来てませんように。
私は彼女を、救い続けたいです。
彼女が何度も私の死を止めてくれたみたいに。
長い秋が過ぎても、会える補償なんてない。
恋が忘れれたらいいのに。
たまに遊ぶ親友のままで良かった。
でももう遅い。私はYを敵だと言ってしまった。
「どういう意味?」
彼女は鈍感だから、ただ私が人嫌いをしているように思っている。
そんなんであなたにわざわざ言う訳ないのにね。
明日一番に家に向かって告白したい。
会って顔を見たい。
寝室で眠れなくて、心配した彼女がリビングに
迎えに来るのを待ちながら
今だけは彼女の頭の中は私だけいて欲しい
とか
馬鹿な期待をしながら。
落ち着いたら遊ぼう。と連絡自体はきている。
でもそれも時間が経つと「私からいったんだっけ」とか「いやー実際仕事忙しくて無理かな」
当たり前に断られる、いつものパターンが見えている。だから決めた。
向こうが心配になるほど誰も求めない。
どうせ、私はYには勝てないんだから。
Yと居ても私の心配が過ぎるくらい最後の記憶が思い出せないまで話してやるもんか。
遊びの誘いも中途半端なら全部無視する。
結局やらないから。
好きってなんなんだろうな。
取り合ったことがないからどうしていいのか分からない。そもそもYが同じかどうかもハッキリとしない。ただ、彼女はYを溺愛している。
ストレスがたまったらYとこっそり県外旅行にもいくし、年末年始や夏休みも実家に帰るといいながらYの家にいる。
極みつけは、私が問い詰めた時。
「私は遊べなくて、Yとは普通に遊んでるのは何が違うのかな」
私は県外だからバレた時に困る、
Yは一応県内だし…その実は家が近くて頻繁に会える距離だからセーフかなって
百年の恋も冷めるような回答だった。
このまま好きを日々濁らせていく意味はあるんだろうか。
そう頭では考えても、1度連絡が来れば喜ぶ私がいた。
どうしようもないのだ。
