大2になってから都内の某有名私立W大学の某インカレ登山サークルに入っているのだが、春から夏にかけては、行きたい山行が雨で中止になったり、クソみたいな部活のクソみたいな大会があって参加できなかったりした。
しかしこの度部活の練習をサボって1泊2日、甲斐駒ヶ岳テント山行に参加したのでその記録である。
〇1日目(9月14日土曜)
自宅→(伊那経由)→北沢峠
秋の3連休に山に行くなんて自殺行為である。八王子駅のホームは当駅始発、6時35分発の中央線の普通電車を待つ山の格好をした人、旅行や行楽の人、その他で溢れかえっている。
なんとか座席に座れたが立っている人も多い。何しろ1週間前に八ヶ岳に行った時も乗った中央本線なので、とりあえず目を瞑って耐えることにする。
相模湖、藤野、上野原…(中略)…山梨市で臨時のあずさに抜かれて、日野春で7時のあずさ号に抜かれて…岡谷までおよそ3時間。飯田線の直通電車に乗り換える。飯田線で1時間、伊那谷をノロノロと下り、伊那市着10時37分。ずいぶん遠い。
ここで高速バスで来るサークルの人と合流する予定だったのだが、なんでも渋滞で遅れるという。10時45分のバスに乗るのは絶望的である。今どこですか?と聞いたら、まだ甲府盆地らしい。鈍行も楽じゃないが、3連休の中央高速の渋滞にはまるバスよりは何倍もマシであろう。
とりあえず伊那市を一人で適当に見物して、12時過ぎに2時間半遅れでバスが到着。
乗り継ぐバスまで時間があるので、結構色々な人としゃべった。どの人も穏やかな感じで、大学の授業のこと、サークルについて、山登りの経験や始めたきっかけ、バイトのことなど、色々聞いて楽しかった。僕が思うに早稲田大学は人種のるつぼ、多種多様な人がいて楽しいと思う。慶応はゴミ。
13時20分のJRバスで高遠という所まで行き、そこからタクシーで仙流荘のある戸台パークまで行く。さらにここから南アルプス環境破壊林道スーパー林道バスに乗り継いで、北沢峠まで上がる。なんとも遠い。先輩からの話によると、甲府方面、広河原からの道は数年前の土砂崩れで不通になったらしく、こちら側伊那方面からが唯一の北沢峠に上がる方法らしい。ここからはマイカー規制で、林道バスだけが入れる道である。
3連休なので人が多く、バスに乗れるか心配だったが、次々と増発されたバスが出て、僕らも無事に乗ることが出来た。
林道バスはぐんぐんと標高を上げて、山に入っていく。窓からの風が涼しい。バスは時々無線機でやり取りして、行き違いのために止まるようだ。すれ違うバスの客はみんな死んだように寝ている。
北沢峠着15時ごろ。すごい人。やっとのことでテントを張り、夕食は皆で米を炊いて生姜焼きを作る。
19時前に就寝。みんな軽くて綺麗で快適そうなテントマットとかシュラフ持ってるのに、僕だけ親のだから30年前ので恥かいた。テント泊なので、女の子との隣で寝れるかと思って期待したが、普通に一番女の子から遠い端っこにされた。右半身だけテントに触れてる感じで寒かった。
〇2日目
北沢峠→仙水峠→甲斐駒ヶ岳→双子山→北沢峠
2時に起床。まあまあ良く寝た。
3時ぐらいから、真っ暗な中、ヘッドランプを頼りに歩き出す。ここでもみんなは新しいLEDの明るいヘッドランプなのに、僕のだけやけに頼りない。暗いし、樹林帯で本当に何も見えず、あまり面白くない。
仙水小屋を過ぎたあたりから、岩塊の上を歩く。やっと明るくなってきた。さすがにこの時間なので登山者は少ない。
あまり天気が良くなく、冷たい雨が降ってくる。レインウェア無しでやり切ろうかな(暑いので)と思うが、駒津峰のあたりで、遂にダメそうでやむなくレインウェアを着る。甲斐駒ヶ岳の魅力は眺望なのに、山頂からの景色もこれでは絶望的である。
しかし僕は日頃の行いが良いので、幸い晴れた。森林限界を超え、甲斐駒ヶ岳の頂上が見えてきた。脆い花崗岩で歩きにくい。
(これは僕です。)
(これも僕ですね。人と行くと写真撮ってもらえるので嬉しい。)
山頂で記念写真+景色を眺める。僕はみんなにチョコパイを配ったりして「山の旨い行動食マスター」を演じておいた。富士山、北岳、仙丈ヶ岳などが見えてまあまあ満足した。しかしあまり苦労して登った訳では無いので感動はそこそこであった。残念ながら北面、八ヶ岳や奥秩父は真っ白で何もわからなかった。
そのあとはもう一つの頂、摩利支天にも訪れ、下る。はっきり言って北沢峠からの往復では物足りない感もあるが、しかしまあ今日ではこのコースが一般的であろう。僕は「息も絶え絶えになる死ぬほどきつい急登」とか、「終わりの見えない、下山できるか不安になるような延々と続く尾根」とかが好きなのだが…
北沢峠に戻って、小屋のおでんや生ビールなどを堪能。
仙柳荘で温泉に入り、みんなとアイスを食べたりして時間を潰し、17時の南アルプスジオライナー茅野行きに乗る。バス2台でなんとか乗れる満員で、つくづく3連休に山に行ってはいけないと思いつつも、仲良くなったメンバーと色々しゃべって楽しかった。男の子も女の子も、先輩も同期もみんな穏やかで親切で、他大の僕でも気にせず接してくれて、いい人ばかりで楽しかった。ところで、バスの前に座っているおっさんが隣のおばさんに「オレは日本百名山のどこに登った」など大声で自慢し続けて、本気でぶん殴ろうかと考えていた。こういう百名山至上主義登山者は「アホ」である。はっきり言おう。
さて、今回の良かった点としては、人と山登ることは人と登ることでしか得られない経験があること、とりあえず南アルプスというものを体験したことである。
悪かった点としては、やはり伝統の黒戸尾根ではなく、バスを使って北沢峠から1000m上がるだけではそれが本当に甲斐駒ヶ岳に登ったと言えるかはやや疑問が残ること、人と行く分、景色や山の印象は圧倒的に薄れがちだということ、甲斐駒ヶ岳という山は結構花崗岩が多く、がれ場も続き、歩いていてあまり楽しくなかったこと、南アルプスに限らないが、人気の山はやはり人が多く、落ち着かないことである。北岳なども興味があったが、今回の山行で一切行く気が失せた。
茅野着18時24分。また皆は高速バスで帰るらしく、電車で帰るのは僕ともう一人であった。何とか茅野駅の立食そばに二人でありついて腹を満たした。彼も非常に親切で、色々しゃべって楽しかった。
さて、さすがに疲れているので19時9分発の特急あずさで帰ることにする。数日前になんとか最後の指定席を確保できたのだが、乗り込むと茅野の時点で満席であった。ここ2週間で2往復した中央線も、1回ぐらいは特急に乗ってやろう。