「のれんを守るというこはよくても、やはり店を継ぐ継がないにしても、不動産の権利についてまで自分に渡すというほど、そんなお人よしなことがあっていいのか疑問に思いましたからね。それでもめることだってあるわけだし」


彼としては修行だけでもいいと思っていた身なので、
そこは率直に言ったらしい。


『それは大丈夫ですよ。後でもめるようなことはしませんからね。私は別にありますし、それに何よりも、この1年ぐらいですが、あなたがきてくれるようになって、父や母がとても元気になったというか、生き生きしてるんですよ。私は早くに家を出ることになってしまったので、親孝行なんてできてませんが、あなたがきてくれて、家に活気もでたみたいで、そこに感謝してますから』


そう実子さんが言ってくると、
それを聞いていた老夫婦も、
うんうんと何度も深く頷いてきていたようだ。


『私たちには、子供(実子)がこうしているけれど、でも今となってはいないようなものだったりするから、あなたがきてから、子供が戻ってきたみたいでね』


老夫婦がそう言ってくれたようだ。


「自分はある意味存在価値がこれまで見いだせてなかったので、それを言われて、初めて居場所ってものを感じた気がしましたよ」


彼がちょっと目元を潤ませながら話している。



続きはまた後で~☆

つづく