「いっそのことケーキ屋さんにでもなったらどうだ?(・・。)ん?」
パティシエなどといった言葉が、
まだ世に出回っていない時代だったのでそう言うと、
「…それはさすがに僕には厳しいかな…そこまではうまくはなれないでしょうし…」
作るのは好きでも、
オリジナリティーとなると難しいところもあるから、
そうそうプロの道にはいけないだろう…
ということを彼は私にとくとくと話してくれた。
プロまではいかなくても、
お菓子作りは本当に好きなようで、
それを否定されたりすると、
彼としては全否定されてしまったようで、
相手のことを好きという気持ちよりもショックだったらしい。
「彼女のことにしても、そういわれても急には嫌いになれないし、こういったお菓子作りも嫌いにもなれないし、なかなか気持ちの整理は難しいんですけど、それでも久々に和菓子っていう、いつもと違うものを作ったらちょっとだけ気持ちが落ち着いて…」
彼が苦笑まじりに言ってくる。
「なんだか変ですよね?」
私が黙って聞いていると、
彼が慌ててそうたずねてきたから首を振り、
「気持ちが落ち着いたり気分転換になったならいいと思うよ」
そう付け加えると少し安堵の表情を浮かべていた。
続きはまた後で~☆