「今日仕事でひどいことあって落ち込んでるの。なんか、むしゃくしゃする。ねえ、おもしろい話とかない?」


「そんなのねーよ」


「ひどい。なんで、あなたまで、暗いわけ?」


「俺にだっていろいろあんだよ」


「やな感じ!もういいわよ、他の人にメールでもして楽しませてもらうから」


「お前ものすごく自己中だなあ」


「恋人なんだからそのくらいしてくれるのがあたりまえなんじゃないの」


「それを言うなら、俺にも俺の感情ってものがあって、さまざまな思いで生活してるってこと、考えたりしないわけ?」


自分の思い通りに相手がなんでもやってくれるとは思ってはいけない。


「ちょっとだけ慰めて欲しかったの。ほんのすこし笑わせてくれたらまたがんばれるから。でも、あなたも疲れてたんだよね?……眉間に寄った皺、伸ばしてあげるね」とこのように、せめて、相手だけは、陽気にふるまってくれたらいいのにと願うだけならば、許されるだろう。


しかし、恋人というものは、常に自分の様子を気にかけてくれて、臨機応変に、こちらのために動いてくれる存在なのである、などと恐ろしいことを考えてはいけない。


相手が何を思って、どう行動するのかは、相手の自由であり、相手が決めることなのではないだろうか。