試写会の幕が下りたとき、ふるふるとこみあげたどうしようもない怒りにも似た苛立ちに我ながら呆然となった。


何これ?


話題作り?


原作を読んでいないので詳細はわからないのであるがとにかく共感できなかった。


ファンタジーだからおおめに見てね、と言われても困るものは困る。


まったく笑えない。


これっぽっちも夢がない。


前の席のママさんと娘さん(推定7歳)がいたのだが、途中で、ママさんがご自分の手のひらで娘さんの目を覆っているように見えた。


目隠しをしたくなってしまう気持ちもよくわかる。


ヒロイン春菜はわずか11歳で同級生のぽあぽあした赤ちゃんみたいな男の子の子を宿す。


特別彼に恋していたわけでもないらしい。


好きな男子は他にいるようだった。


二人の幼い恋がいかにして成熟して命をはぐくむにいたるのか、というような話では決してないのである。


好奇心、遊び感覚でも、理由はどうあれ、女の子は妊娠可能なのである。


妊娠したら産むか産まないか、この二択しかない。


親にも姉にもすべての大人たちに妊娠を隠して、クラスメートの助けを借りて極秘に出産までしてしまうのだ。


イエスさまのように馬小屋とまではいかないけれど、当然ながら産婦人科医もいない、消毒もできない、ベッドもない、清潔とは程遠い環境で、なんなく、胎児をとりだしてしまうというどんなホラーよりも恐ろしい設定なのである。


命の大切さを謳うという前に、甘利はるなちゃん演ずる春菜はへたすると死亡してしまうではないか。


医者の息子君がヒッヒッフーだよと呼吸法まで伝授したりそれはそれはもうあきれかえるだけだ。


へその緒とか、胎盤とか、いったいどうしたんだよとつめよりたくなってしまった。


宮崎美子ママも谷村美月ねえさんも誰も気づかないなんてそんなわけあるかーーーーい。


悪阻とか、膨らんでいくお腹とか、食べ物の好みが変わるとか、妊娠はともかく、具合が悪そうな娘の様子を仕事や家事で忙しいからといって10ヶ月もほっとく親がどこにいるのだ。


赤ちゃんのパパのその両親も一言もわびることなく最低な人々である。


春菜の担任の先生(麻生久美子)もきりきりとしていて全く余裕がないし、生徒への愛情も微塵も感じられない。


親身になってくれる先生もたくさんいらっしゃる。


経験のあまりない若い女性の先生というだけでヒステリータイプであるといいたげなあの描かれ方では演じた麻生久美子が気の毒である。


PTAもまるで悪魔のような描き方だ。


あんなにまでおかあさんたちは毒舌でもなんでもないぞといいたくなる。


もっときちんと子どもたちに向きあっていると私は思う。


大人なんて信じられないよね、嫌いだよね、自分勝手なあの人たちなんて大嫌い、授かった命だもんね、どんなことがあってもおろしたらだめだめだよね、そんなの鬼畜だよね、赤ちゃんっていいね、あんなに簡単に産めるなんていいね、産んでも、誰かに育ててもらえばいいよね、いいよね、いいよね、いいよね、……いやはや世も末である。


妊娠したらとにかく何よりも先に専門医にみてもらってくれと心の底からお願いしたくなったのは私だけではないはずだ。


唯一の救いは甘利はるなちゃんとクラス委員の女の子の名演技なのではないかと思う。