対人恐怖症で引きこもりの作家アレクサンドラ(ジョディフォスター)に、親近感がじくじくとわきあがる。
昔の自分を見ているようだ。
ドアの向こうに行くにはたったの数歩でいい。
だが、その一歩がなかなか踏み出せないもどかしい感覚はよくわかる。
吊り革もつかめないほどの潔癖症ではないが、除菌や抗菌と書いてあるグッズはとても魅力的であると思う。
来日した際、お昼休みはうきうきウオッチングに出ていたり、にこやかに振舞っていた愛すべきジョディであるが、今回の彼女はちっともこれでもかというくらいかっこよくない役なのである。
大物なのに、脇役を楽しそうに徹底的に演じている。
颯爽としているわけでもないし、宇宙と交信する学者というわけでもないし、サイコな人と対峙するFBI捜査官というわけでもないし、ドンと来い超常現象!というわけでもないし、超絶頭が切れるというわけでもないし、クールな表情で銃をかまえて「ここはまかせて、あなたは先に行きなさい」的なものもなんにもない。
守るつもりがしっかりと少女ニムに逆に支えられ励まされてしまっている。
ジョディファンにとっては、一体どこで萌えたらいいのかと思う。
ビショビショでよれよれでちょっと半裸でぼろぼろの雑巾みたいになった姿とか、たとえ火の中水の中それ行けそれ抜け猛レースみたいなノリでやっと孤島にたどり着いた時に浮かんだ自然な笑顔に喜べばいいのかもしれない。
アビゲイル・ブレスリン(Abigail Breslin)の引き立て役に徹している、その見事なまでの助演ぶりに萌えるという手もある。
いい女要素ゼロで、情けなくてコミカルで、それでも可愛いジョディを見ることができる貴重な作品ともいえるかもしれない。
主役はやはり演技ウマーーーの子役、アビゲイル(ヒロイン、ニム)だろうと思う。
ジョディの映画ではなくてアビゲイル主演の冒険物語なのである。
ニムが作るゴミムシダマシ?のベイビー入りのぐちゃぐちゃどろどろのディナーを食べることで友情の証をたてなければいけないアレクサンドラなのである。
「スープしか飲まない。虫を食らうことなどできぬ」と言ったら最後、引きこもりの作家に逆戻りなのである。
南太平洋で、一人なす術もないまま、せっかくニムに会いにきたものの、ぷかぷか浮いてるしかないのである。
それにしても、虫だ。
ちなみに、たくさんのとかげたちはファンキーであった。
蟲師は大好きだが虫は苦手である。
評判どおりの確かに心温まるハートウオーミングな映画ではあるのだが、どうも、この虫が気になってしかたがない。
本当は私は虫が好きだったりするのかもしれないと苦笑いをしてみる。
といっても、虫好きの皆さんがわくわくしてしまうほどの大量の虫が出てくることはない。
南の島でインディージョーンズみたいなパパと暮らすニムのお食事が虫なのである。
「食え」と言われたら迷うことなく餓死を選択してしまうと思うくらいの、ぐちょぐちょさがすごい。
オオキベリアオゴミムシの幼虫はカエルに食らいついて、血を吸うだけでは飽き足らず、最後はばりばりと食べてしまうという。
捕食寄生である。
虫の世界も怖いよ、ママン、である。
寄生虫、恐るべし。
パパが持ってきた新種のプランクトンなるものを見てみたいと思った。
ニムといい、ポニョといい、海辺の女の子たちは元気だねという海洋冒険ファンタジーである。