実家に寄生虫のごとき帰省中である。

パソコンも通信衛星も糸電話もない。

食べて飲んでミステリーを読んで畳の上に大の字になる。

妄想好きには至福の時間である。


母に導かれ迷路のような総合病院内を歩いていく。

よく迷子にならないねと問うと、床に貼られたテープの色をたどればいいという。

なるほど目から鱗気分である。

面白がっている場合ではない。

確か私はこれでも付き添いだったはずではないか。

しゃきしゃきっとしよう。

隣の小児科から、いてーよ、放せよ、やめろよと気合いの入った可愛い声と泣き声が聞こえてくるではないか。

泣きたいのは大人も同じだ。

わあわあ泣いてスッキリできたらいい。

廊下に出てきた、目に一杯涙をためた推定年齢四歳の男の子は、ちっとも役にたっていない脱力系の私を見てにこっと笑った。

おお、しっかりと君の元気をもらったぞ。

明日もめげずにがんばろうと思った。