携帯電話が鳴っている。
かなりしつこい。

ああ、うるさいな。

休日はひたすら寝ると決めている。
俺の至福の時間を邪魔する奴は誰だ。

不機嫌マックスで電話に出た。
『レン?今どこ?さっきからずっと映画館の前で待ってるんだけど』
『・・・寝てた』
『えっ、何それ。今日約束してたじゃない』
『してたっけ?』
『ひどーーーい。私どうすればいいわけ?』
『ゴメン、俺、今日パス、気分のらない』
『はあ?最低』

彼女の怒りはさすがに相当なものらしい。

だが俺は彼女ののろいにみちたような声を聞いているうちに
なんだかもうどうでもよくなってしまった。

いいわけする気力もわかない。
どうして俺はこんな女とつきあっているのだろうかとさえ思ってしまった。

★★

翌日日曜日、今度はチャイム攻撃で目が覚めた。
玄関を開けると、スーパーの袋を下げた彼女が騒々しく入ってきた。

パジャマ姿、髪はぼさぼさのままの俺を見て、彼女は苦笑していた。

「もう夕方の4時だよ。まだ寝てたの?」
「俺の趣味は寝ること」
「あいかわらずレンはつまんない男ね。
そんな男においしいご飯作ってあげようとしている私って馬鹿みたい」
彼女は再び苦笑いを浮かべキッチンに向かった。

食後、皿を洗い終えた彼女がソファでテレビをみていた俺の隣に座った。
彼女は俺の腰に手をまわし甘えるように寄り添ってきた。

いつもなら俺はここで彼女を抱き寄せ恋人らしい時間をすごすのだ。
だが今夜はまったくそんな気になれなかった。

「レン、最近冷たいね・・・」
彼女はますます俺に密着してくる。

「いつもと同じだろ?」
「ううん、前はもっと優しかったし、二人の将来のこととかよく話し合ったりしたじゃない」
「将来?」
「一緒に暮らしたいって言ってたじゃない」
「言ってたかもな」
「今は?今はそんな風に思わないの?」
「・・・正直考えてないよ」
彼女は言葉をなくしたようにうろたえた。

「そうか、はっきり言われるとすごいきついんですけど」
彼女は唇をかみしめ泣くのをこらえているようだった。

俺は彼女の腕をやんわりとふりほどき、リモコンボタンを押し誰もみていないTVを消した。
静寂になった室内に彼女のため息がもれた。

「理由は何?私ってやっぱり全然だめ?みんながいうように私とレンとじゃ容姿とかつりあわない?
私のほうが3つも年上だから嫌?」
「・・・俺が・・・お前にふさわしくないんだと思う。ずぼらだし、趣味ないし、
稼ぎだってお前のほうがあるし、養っていくとか結婚するとかそういうことまったく自信ない。
俺のこと待っててくれても期待はずれにさせると思うし、
俺は無理だけど、お前のこと幸せにしてくれる奴必ずいると思う・・・」

俺はいったいごちゃごちゃと何を言っているのだろう。

要するに俺は彼女と別れたいだけなのだろう。

責任とやらを回避して、もっと後腐れなくつきあえるようなお気楽な女を
求めているということだ。



年齢とか稼ぎとかそのような理由でさよならしたがるというのは
残念ながら相手への気持ちがないということだと思います。

思いやるということは二人でどんなことも乗り越えてゆくということでもあります。




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