これまでにない緊張を抱えて彼との待ち合わせ場所に向かった私。



一応お互いの写真は確認済みだったので、
落ち合うのはとてもスムーズでした。


お互いがお互いに気付いた瞬間、


「はじめまして、かな?写真で見るより可愛い」


柔らかな声で、飄々と、
彼の第一声はそれでした。


私は彼を見た瞬間、
声を聞いた瞬間、


身体に電流が走ったような感覚と、
頭が甘く痺れたような感覚になりました。


あ、この人のこと、絶対好きになっちゃう。


瞬間的にそう思いました。


会う約束をしていたのは夜で、
海の近い場所だったので、
まずは夜の海に行ってなにをするでもなく波の音を聞いたり話したり。


驚いたことに、
ネットで知らない人と会うということが初めて且つ、あまりにも無防備な彼は、


そのあと自分の自宅に私を連れていきました。


あ、そういうこと?


と思いながらもついて行った部屋には、


ターンテーブルとたくさんの音楽機材があり、
あぁ、音楽を仕事にしてるって本当なんだなと思いました。


私は突然招かれた部屋でどうしておくべきかわからず、



何故か部屋の隅で緊張しながら体育座りをしていましたw


一方彼は、私に接近してくるでもなく、
ムードを出してくるでもなく、


話しながらターンテーブルをいじり出したり、
ギター弾いてみてよと自分のギターを差し出してきたり、


ただ友達が自分の部屋に遊びに来ましたという雰囲気でした。


彼を知れば知るほど、
彼の纏う空気を感じれば感じるほど、


私は彼に惹かれていました。


そしてその日は深夜のファミレスでご飯を食べて帰りました。


その日からますます私の頭から彼は離れなくなり、


その後も何度も会ってしまうようになります。


もちろん他の男性と会うこともなくなっていました。


私が結婚しているのは彼も知っていて、
男女の関係になるのも、彼は躊躇っていたようでしたが、


やはり、いつしか一線は越えてしまいました。


私は彼をすごく好きになってしまっていたし、
彼からも好意は感じていましたが、


お互いに


「好き」


という言葉は言った事はなかったです。


彼を好きになって初めて、
自分のしていた事の重大さを感じ、


このままではいけないんだと思うようになります。


それは、
元旦那さんと別れて彼と付き合うということではありませんでした。


彼の気持ちを聞いた事があるわけでもなく、
本当は彼は単なる遊びとしか思っていないのかもしれないし、
彼と私が今後どうなるかなんて全くわかりませんでしたから。


それよりも元旦那さんとこれからどうしていかなくてはいけないのか、


元旦那さんはこの夫婦関係をどう思っているのか、



「結婚」という制度の責任の重さを初めて感じ、



これからの自分達のことをきちんと話し合わなければいけないと、



改めて思ったのです。