生まれて初めて精神科に足を運んだ当時、
私は前の旦那さんと婚約中で、両親への挨拶も済ませており、近々婚前の同棲生活の為にお引越しの予定、
という状況でした。

お引越し先の新居は実家から車で1時間強くらいの場所。

そう遠いとは言えない距離だったかもしれませんが、
初めて地元を離れる不安、親元を離れる不安、
新生活への不安。

普通に考えれば、こんな病気が発覚したばかりで、
まともに外出することも難しいような時期に大きく環境を変えるということは避けた方が良かったのですが、
元旦那さんの強い要望があり、そのまま強行する事になりました。

元旦那さんは、決して悪い人ではなかったし、実際私の病気に向き合い、真摯に面倒をみてくれていたんですが、
少々強引なところがあったり、頑固だったり、
身内の事は本当に大事にするけれど、他人にはあまり親切ではなかったりするような、

正直人にあまり好かれるタイプの人ではありませんでした。

それでも私の事は本当に愛してくれているのはひしひしと感じたし、
男らしく(見た目は可愛いかんじでしたが)頼り甲斐のある器用な人だったので、結婚を決めた訳ですが…。

そんなわけで、不安を募らせながら、それを口に出す事は出来ずに引越し当日になってしまいました。

荷物を積み込んで出発する時、母は心配そうな顔で

「頑張りなさいね」

とだけ言いました。

それしか、言える言葉がなかったんだと思います。

離婚した後に聞いたのですが、母は、私の不安そうな、これからの試練を予感させるような、
なんとも言えない私の顔を忘れられないと言っていました。

それでも、どうにか乗り越えて幸せになって欲しいと思う気持ちが入り交じって何も言えなかったと。

そうして私は不安しかない気持ちで、住み慣れた町を離れ、
周りに知り合いは旦那さんしかいない土地へ移り住む事になりました。

しかし、ものの2、3ヶ月で地元に舞い戻ってくる事になるのです。