結局は、やはりこうなるのか。
オレは、頭の中をうねうねと歩く、軋み、骨ばしったその内容にそう思っていた。
やはり。予想通り。ここは何も変わらない。
一見は正常・潔癖。
外見こそ普通最高に感じるかも知れない強固な組織に、オレは所属していた。
一つの場所に長くあることは好みではない。
派遣の糸を辿ってここに至った約2年間は、時間的にそれほどでないにかかわらず、元企業とオレとの小さな確執をどうにもならないほどの深い溝に変えてしまうには充分過ぎるティータイムだったようだが。
もう、後戻りなどは勿論出来ない。
そんな悲観的ともとれる後ろ向きの防衛策は、ここへ来る前に自分の手で粉々にしてきたはずだった。
しかし。
オレは、足元に纏わり付く砂塵を蹴る様に払いのけ、未だ国と言う体制を辛うじて保っている小さな列島の端で苦笑していた。
目の前には、手当たり次第に近づくものを吸収していった結果にじみ出た、歪みと錯覚させるほど巨大なビルが、黒く、軍事要塞を模している。
その遥か上空の何百階だかの辺りには、信じがたい大きさのヘキサグラムが浮いているはずだ。
それが目的である以外なら、わざわざ見上げる必要もなく、入り口であるこのウェルカムドアにも、企業先端を誇るかのごとく、同じものがホログラムで表現されている。
この、ダビデの紋章で知られるその星を印に持つ組織は、現代表取締役の祖先が、日本人の家系の祖と言われる「清和源氏」に連なることからその現状形に創られているとされている。
欧米・欧州の一部に熱狂的に好かれるこの国と、ヘブライが一体どういった関係を持つのか甚だ興味は無いが。
研修に入る前に徹底的に施される教育理念に組み込まれ、脳が、断片化してだが、確かに記憶している。
この国、この地域で知らないものはない組織。
世界的にも未来を約束されている企業。
人間の生活に不可欠な全ての機関が統合圧縮され、一つの街として機能している超ド゙級ビル。
ここに入った人間は皆、安心し、万全な人生を送る。
果たしてそんなワケはない。
内部の人間、更に言えば幹部とまで称される役員を騙し欺いてまでして、この組織は惰眠を貪っている。
「大きくあるものは即ち時間と労力」を意・要する物理・自然科学を無視して、一夜にして建った瞬間から、この時まで。
そして現在進行形でバベルの塔のごとく、更に更に高く積み上がっていっている。
誰もが、破滅を意味するジャンプを続けているこの組織を知っているにも係らず、声を発しない。
老朽化した・噛み合わない・声を発する・組織にそぐわない歯車は、悉く無垢な新品と交換される。
そして、その交換され外された歯車が行き着く先は、誰も想像しない。
単純な2択の選択を迫られ、出した答えにオレは、そう、小さな列島の端にある汚いビルの前で苦笑していた。
その代償があまりにも理に適った、組織の理念に完璧に沿ったモノだったからだ。
最悪と言える内は、まだ大丈夫。
こんな時にこそポジティブな思考で前進すべきなのだ。
本来、それ位の可能性を示唆した砂粒であれ、残っている。残されていて然るべき。
そうしなくてはならない筈。
しかし。
しかしソレは、その組織、その理念を以って渡される事は無かった。
結局は、やはりこうなるのか。
オレは、頭の中をうねうねと歩く、軋み、骨ばしった内容にそう思っていた。
この組織が演じた街の市長はアレックスと言ったが。
もはやその古い友に、永劫会うことはないのだろうと、溜め息をつき、歯車は風に押され砂漠に影を灯すのだった。。。。
=ネコ=