-前半-



なー。なー。


唖然とし、棒立ちの僕の足元で子猫が鳴く。
びっくりした。
久しぶりにこんな大声でびびったよ。恥ずかしい。
なんだ?お前。
なんで、こんなトコにいるんだ?


勿論、そのネコは僕だけに見える幽霊ではない。
れっきとした、正真正銘の子猫である。
見た所、本名の無い雑種だ。
普通の子猫である。

首輪はないし、野良だろうか。


急に鳴き声が止んだのは、どうやら僕がドアを開けたかららしい。
でも、なんで、部屋の前で鳴いていたのだろう。
つか、なんで、ここにいんのよ。
玄関開いてねえじゃん。
うーん。。。。。
僕は、取りあえず、ネコの侵入口を探すことにした。
こらっ。。。ネコっ!足元に纏わりつくな。歩きにくい。


結局、解らない。
唯一の侵入経路になりそーなところは、風呂場の窓だ。
換気?為、大体は開いている。そして今も、だらしなく開きっぱなしである。
しかし、風呂場へと繋がる脱衣所のドアは閉まっていた。
この子猫が、大胆にもなんらかの手段を講じ、ノブを回したのだろうか?馬鹿な。ありえない。
だとしたら、どうだろう。
この脱衣所のドアは、なるほど、壊れている。
シロアリの、大変な頑張りのおかげで、下の方の角が腐食され、ボロボロだ。
ここから通ったとは、考えられないだろうか。
僕は、聞いたことがある。
ネコという動物は、大変からだが柔らかく、例えば、髭を含んだ顔の面積分さえ通路が確保されれば、どんなトコロも通れるそうなのだ。
なので、試してみた。
勿論、僕は鬼ではない。か弱い動物を虐待するように育てられた覚えもない。
足で押してみる。ぐいぐい。
通れるような気がする。
でも、ネコは通らなかった。子猫自身が諦めたのだ。だけど、通れる気は、依然する。


さて、これで侵入経路は判明したワケだが。
どーしよう。このネコ。
ここで飼うわけにはいかんのである。かわいいけどね。


玄関でL座り(昔で言うヤンキー座り)をし、あーだこーだ唸っていると、子猫が僕の股の下に陣取り、丸くなる。
これでは動けないので、喉をゴロゴロやってやると、ネコは目を細め、首をくねらせる。
違う違う。どけと言っているのだ僕は。このネコめ。
これでは埒があかない。
僕は子猫を抱きかかえると、靴を履こうとした。ネコがもがく。
爪が痛たたたたたた。。僕はネコを下ろした。
どうやら自分の足で大地を踏み締めたいらしい。この水戸黄門め。


僕は、決心した。
いや、そうだとも、もうこの子猫の方は既に決心がついていたに違いない。
この家を出ると。船出すると。七つの海を、制覇すると。
僕は玄関を開き、子猫を外へいざなった。
だから纏わりつくな、歩きにくいってば。
餌はやらん。
餌付けになると、めんどくさいからな。ホラ、家に帰るんだ。


僕が中に戻ろうとすると、子猫は玄関先で腰を下ろし丸くなる。
帰れってば。
僕は子猫の首根っこをつかみ、子猫を歩かせる。キリキリ歩け子猫め。
もう、来るなよ。そんで、車には気をつけろ。


僕は、子猫に手を振り、玄関を閉め、泣き崩れた(嘘





全然、一期一会じゃねえ。





=ネコ=



追伸:
僕はとても犬好きなのに、野良犬なんて見たことないのです。
なので、野良とのエピソードは苦手なネコばかりだったりします。
今日、子猫を抱いていて、ふと、昔のことを思い出しました。
田舎の駅で電車を待っていると、足元に纏わりつくネコがいるのです。
そのネコは子猫じゃありませんでしたが、どうみても血統書つきで、首輪も在りました。
毛並み、超すげえ。
やたらめったら人懐っこくで、僕の膝やら、コートの中やら、バッグの上に乗って体を擦り付けてくるんです。
なに、この行動。。。
そのまま幸せそうに寝るのです。そのネコは。
僕は電車の来る時間まで(田舎なので遅い)、身動きが取れませんでした。
おのれネコめw


追伸2:
子猫の写真があれば、誰かに羨ましがられてハッピーだったのに、僕の携帯では無理だったぜ。
デジカメ欲しい。。。