結局荷造りは
娘の部屋の物は全部
そして私に関する物も
いったん全部実家へ運ぶことにした
父が引越業者と交渉してくれて
最短の水曜日に引越となった
夫にそれをメッセージで伝えると
「分かりました」とだけ返信
学校があるので
両親と娘は先に帰ってもらい
私だけ残って
段ボール詰め作業をしていた
改めて家の中を見まわすと
ほとんどが私の趣味の物
家電も家具も何もかも
私が決めたものばかり
そりゃこんな家
帰りたくなくなるよね…
私の自分本位の動かぬ証拠
改めて
自分の身勝手さに嫌気がさした
とは言っても
夫の生活に必要なものまで
私の趣味だからって
持っていくのも申し訳ない
だから
夫が戻ってきたときに
嫌な気持ちになるかもしれないけど
置いていくことにした
私の痕跡が残って
本当にごめんなさい
もしかしたら、と
淡い期待はあったけど
やっぱり
夫は姿を見せなかった
そして水曜日を迎え
引越屋さんに
荷物をお願いした
たくさんの荷物が運び出され
寂しくなった家の中
掃除を終え
最終チェックを済ませると
私は夫に手紙を書いた
夫へのお礼と謝罪
そして今の私の素直な気持ち
書き出したら止まらなくなって
涙が落ちないように注意しながら
二枚に収まるように
何度も何度も書き直し
娘の手紙と一緒に
テーブルの上に置いた
読んでくれないかもしれない
だけどこれで
少しでも夫の傷が癒えれば…
でもこれも
私の自己満足なんだろうな…
最後まで
本当にごめんなさい
家を出て
カギをポストに入れ
夫に「引越終わりました」と
メッセージしたけど
既読になっただけで
返信は無い
なので
もう一度メッセージ
「本当に申し訳ありませんでした。
今までありがとうございました。」
こちらも既読になった
読んでくれた…
もう
それだけで十分だった
こうして私は
この街を去った
あなた…
本当にごめんなさい…
【BACK NUMBER】
遅過ぎた後悔 本気で好きだった 身体を許す時 歪んだ猜疑心